電通の入社式、AIが決意表明をビジュアル化 新社長が示したAI活用論

4月1日、電通はグループ10社合同の入社式「Day Oneセレモニー」を開催した。2019年以来、社員としての1日目を祝福する式典として実施されており、今年度は電通に加え、アド電通大阪、ザ・ゴール、電通アドギア、電通九州などグループ9社、計209人の新入社員が参加した。式典では、同日付で就任した電通の松本千里社長が登壇し、歓迎のメッセージを述べた。

新社長が語る「精神的同期」と、これからの電通人に求められる姿勢

松本氏は、自身も社長就任初日であることに触れ、「何を隠そう、この私も同じく本日社長に就きまして、初めてのセレモニーがこの場に立つことです。同じようなDay One(1日目)を皆様と過ごすということで、勝手ながら皆さんを精神的同期と捉えています」と語りかけ、会場の雰囲気を和ませた。

電通の新入社員入社式「Day One Ceremony 2026」で歓迎メッセージを送る松本社長

続けて、新入社員に伝えたいこととして、自身の経験からいくつかのポイントを挙げた。まず、電通は何よりも「人」が財産であると強調。個性あふれる「電通人」との出会いを通じて多様なクリエイティビティに触れ、学ぶことの重要性を説いた。そのために「素直であってほしい」と述べ、できることだけでなく、できないことも仲間と分かち合う姿勢を求めた。

さらに、物事がうまくいっている時にこそ「それってほんとだろうか」と自問し、謙虚に、冷静に足元を確かめられる人こそが挑戦し成長できると語った。非効率に見えても、自身の直感や好奇心が働くことには「失敗したっていい。合理的に判断して動けなくなるよりも、思い切って行動してみてください」と果敢な挑戦を促した。

AIで可視化する新入社員の未来像「Day One宣言」

式典のメイン企画として、新入社員の決意表明をAIで可視化する「Day One宣言 × 空想AI写真館」が実施された。新入社員は事前に「Do(dentsu Japanでやりたいこと、実現したいこと)」と「Be(一人の社会人としてありたい姿)」をパネルに記入。その宣言内容をもとに、AIがそれぞれの思い描く未来のビジュアルを生成するという企画である。

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この企画は、人とAIが対話を重ねて互いの知を高め合う「AI for Growth」をスローガンに掲げる同社ならではの試みであり、AIと共に新入社員を歓迎する場を創出する目的がある。

当日は、新入社員の中から代表4人が登壇し、自身の「Day One宣言」に込めた思いを発表した。

電通東日本のサルズえり華さんは、Doとして「ミックスルーツの声を届け、対話を生みたい」、Beとして「生活を大切にし、丁寧な創造につなげたい」と宣言。美大の卒業制作時に不摂生な生活を送った反省から、丁寧な暮らしが創造性に反映されると考え、宣言に至ったと語った。AIが生成した、伝書鳩をイメージしたというビジュアルを見て、「ちゃんと鳩になってる。ピンクが好きなんで、ピンクになってる、嬉しい」と感想を述べた。

電通の杉山太一さんは、Doに「人の走馬灯に載る、時代・文化・体験を創造する」、Beに「お前だから頼みたいと思われる人に」を掲げた。建築設計やボードゲームといった自身の強みを活かし、「君しかできないよねって言われたい」とその思いを語った。生成されたライブ会場のようなビジュアルについては、自身が感銘を受けたアーティストのライブのような、熱狂を生む忘れられないシーンを作りたいという思いを込めたと説明した。

同じく電通の岡田茉美子さんは、Doを「後世に語り継がれる『伝説』づくりに関わる」、Beを「みずみずしく、しなやかで、軽やかな大人になる」とした。平成リバイバルブームに着想を得て、次の時代になったときに「令和という時代はいい時代だったな」と思ってもらえるようなものを作りたいという熱意を「伝説作り」という言葉に込めたと述べた。AIが生成した螺旋階段のビジュアルは、過去から未来への時間軸を表現していると語った。

最後に電通の佐藤陽希さんは、Doに「世界中にある理想を現実にする」、Beに「価値を仕立てる演出家。絆を演出する仕立て屋」と宣言した。まずは身近な仲間の理想を現実にすることから始め、それが化学変化を起こしてより大きな理想の実現につなげたいと述べた。人や物の内側にある価値やストーリーを具現化する仕事は電通にも共通するとし、人の心を動かしていきたいと意気込みを語った。

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