“見るだけ” から “一緒に過ごす存在” へ ―わかさ生活「ブルブルくん」

今、多くのブランドが再評価しているのが「物理的な接点」である。その中でも、スマホの画面を越えてファンの手元に届く「ぬいぐるみ」というデバイスは、いかにしてブランドへのロイヤルティを形成するのか。連載「愛されぬいの履歴書」第3回は、テレビCMやSNSで圧倒的な存在感を放つ、わかさ生活の公式キャラクター「ブルブルくん」に取材。誕生から20年、今や企業ロゴにも採用される「ブランドの象徴」は、いかにファンとの距離を縮めてきたのか。その戦略に迫る。

ファンからの声でぬいぐるみ化

2023年9月にはジャスティン・ビーバーが京都観光中に同社を訪れ、Instagramの投稿でぬいぐるみを紹介したことでも大きな話題となった「ブルブルくん」。2025年4月には京都市中京区にわかさ生活公式キャラクターの専門店「ブルブルくんのおみせ」をオープンするなど、その勢いは増すばかりだ。

ブルブルくんは2006年の誕生から数年、ファンからの切実な声を受けてぬいぐるみ化が実現した。

「ファンの皆さまから『もっと身近に感じたい』『触れられる存在になってほしい』という声を多くいただいたことが大きなきっかけでした。キャラクターを “体験できる存在” にすることで、ブランドへの愛着をより深めていただきたいと考えたのです」(わかさ生活広報担当者)。

立体化において最重視されたのは、ブルブルくんの魂とも言える「丸くて愛らしいフォルム」の再現だ。2Dでの魅力を損なわないよう、顔の位置や目の大きさといった細かなバランス調整を何度も重ねたという。手に取った瞬間に安心感を与える「柔らかさ」へのこだわりは、ブランドが顧客に届けたい「優しさ」の具現化でもある。

「ブルブルくんのおみせ」の2階にある「ブルブルくんの部屋」。運が良ければブルブルくんが遊びにくることもあるという。

WAKASA&CO.KYOTO 京都四条店の店内にはフォトスポットも。

2024年4月、ピアニジュウイチおよびアスラテックとの共同開発で誕生した「ブルブルくん」「アイアイちゃん」のバルーンロボット。現在は「ブルブルくんのおみせ」で来店者を出迎える。

「見る」から「一緒に過ごす」へ

ぬいぐるみという実体を得たことで、ファンとブルブルくんの関係性には劇的な変化が生まれた。

「それまでは画面越しに『見るキャラクター』でしたが、ぬいぐるみになったことで、イベントや日常の中で写真を撮ったり持ち歩いたりする『一緒に過ごす存在』へと変化しました。より生活に寄り添う存在になれたと感じています」。

SNS上でファンが投稿する「ぬい撮り」写真も、同社として、極めて価値の高いコミュニケーションと捉えていると話す。ファンが自らブルブルくんの世界観を広げてくれることで、「多様な発信力」と「生活者視点の魅力」を獲得することに成功した。

「ご当地キャラカーニバルinぐんま2025」での、前橋市公式マスコットキャラクター「ころとん」とのツーショット。

インナーブランディングとしての「共通言語」

実体化の効果は、社外だけにとどまらない。わかさ生活のオフィスにはブルブルくんのぬいぐるみが置かれ、従業員同士の共通言語として機能しているという。

「社内でもブルブルくんは重要な存在で、モチベーション向上につながっています。オフィスにぬいぐるみがあることで、より親しみやすく柔らかい雰囲気づくりにも寄与しています」。

物理的な実体があることで、社員自身も「自社ブランドが愛されている」ことを実感しやすくなり、ブランドロイヤリティの向上に直結しているのだ。

「どんな体験を届けたいか」を明確にする

「単なるグッズ化ではなく、『どのような体験を届けたいのか』を明確にすることが重要です。キャラクターが持つ世界観やストーリーを大切にすることで、ファンとの強い関係性を築くことができるはずです」と担当者。今後はデジタルとリアルをさらに融合させ、ブルブルくんを通じて「目の健康」や「思いやり」の大切さを届けていきたいと語った。

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愛されぬいの履歴書
月刊『宣伝会議』編集部

情報が溢れるデジタル時代だからこそ、手で触れられる「ぬいぐるみ」の存在が、ブランドとファンの絆を深める特別な鍵となっています。本連載では、単なるグッズの枠を超え、ブランドの想いを届ける「広報担当」として奮闘するぬいぐるみたちにスポットを当てます。SNSで愛される「ぬい撮り」の裏側や、彼らが誕生するまでの物語を「履歴書」と共に紹介。等身大のぬいぐるみたちが、いかにして人々の心に寄り添い、愛される存在になっていったのか。その軌跡を紐解いていきます。

月刊『宣伝会議』編集部

情報が溢れるデジタル時代だからこそ、手で触れられる「ぬいぐるみ」の存在が、ブランドとファンの絆を深める特別な鍵となっています。本連載では、単なるグッズの枠を超え、ブランドの想いを届ける「広報担当」として奮闘するぬいぐるみたちにスポットを当てます。SNSで愛される「ぬい撮り」の裏側や、彼らが誕生するまでの物語を「履歴書」と共に紹介。等身大のぬいぐるみたちが、いかにして人々の心に寄り添い、愛される存在になっていったのか。その軌跡を紐解いていきます。

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