フジ・メディア・ホールディングスは5月12日、2026年3月期決算と2026年度から2030年度までの中期経営計画「Group Vision 2026-2030 Ver. 1.0」を発表した。同HDの中核子会社のフジテレビジョンは、元タレント・中居正広氏の性加害問題に端を発し、広告離れなどによる放送収入の減少が影響していたが、第4四半期に事案前の9割程度まで回復。今後はIP・コンテンツ事業に経営資源を集中し、2030年度までに1500億円を投じる。
広告は「事案前9割」に回復
フジ・メディア・ホールディングスの2026年3月期連結売上高は5518億円、営業損益は87億円の赤字だった。特に影響が大きかったのが、フジテレビジョンを中心とするメディア・コンテンツ事業だ。同事業の売上高は3508億円、営業損益は308億円の赤字となった。
フジテレビジョン単体では、売上高が1737億円、営業損益は325億円の赤字。前期の売上高2141億円から404億円減少し、営業損益も前期の140億円の赤字から悪化した。放送収入や配信広告が事案の影響を受けたことが主因となった。
一方で、広告収入には回復の兆しも出ている。同社は放送収入について、タイム、スポットともに通期では減収だったものの、第4四半期は事案前にあたる2023年度第4四半期の水準比で9割程度まで回復したと説明している。配信広告も第2四半期以降、徐々に回復した。
通期で見ると、フジテレビの放送・メディア収入は1170億円で、前期比27.4%減。放送収入は840億円で32.1%減、配信広告は52億円で38.0%減だった。ただ、1〜3月期は放送・メディア収入が431億円となり、前年同期の193億円から大きく回復した。前年同期が事案の影響を強く受けた反動もあるが、広告主の出稿は戻りつつある。
フジテレビ単体の放送・メディア収入とCM取引社数の推移(フジ・メディア・ホールディングス2026年3月期決算資料より)
コンテンツ事業は増収
放送・メディアが落ち込む一方で、コンテンツ・ビジネスは増収となった。映画では「爆弾」「教場」の配給収入や二次利用収入が好調に推移。デジタル事業では、2025年10月からの価格戦略強化が奏功し、コンテンツ販売も伸びた。アニメでは「よふかしのうた」などアーカイブ作品の海外販売が好調で、人気アニメ関連の貢献も続いた。
2027年3月期については、メディア・コンテンツ事業の売上高を4067億円、営業利益を200億円と予想する。フジテレビの放送収入の回復とコンテンツ・ビジネスの好調持続により、同事業は黒字化を見込む。
IP創出へ経営資源を集中
同日発表した中期経営計画「Group Vision 2026-2030 Ver. 1.0」では、経営ビジョンに「好きでつながる明日をともに」を掲げた。コンテンツへの興味や共感から生まれる「好き」を起点に、人と人がつながる未来を生み出すという考え方だ。
成長戦略の中心に置くのは、IP・コンテンツだ。同社は、IPの創出、制作・ディストリビューション、ファン化、生活者インサイトの取得、次のIP創出へとつなげる「価値創出ループ」を構築する方針を示した。放送は単なる収益源ではなく、IPを育成し、価値を拡張するための中核機能として再定義される。
フジ・メディア・ホールディングスグループビジョン2026-2030より


