2026年5月12日、カルビーが、ポテトチップスをはじめとする主力14商品のパッケージを、グレースケールでの2色刷りに変更すると発表した。つまり事実上の白黒化だ。そして、従来はパッケージ上に存在していたポテトチップスも、キャラクターであるポテト坊やも不在に。印刷の可能な限りの簡素化が実施される。中東情勢の緊迫化によるナフサ不足が印刷インクの原料調達を直撃した結果で、5月25日週から順次、店頭に並び始める。
2日後の14日には、カゴメも続いた。「カゴメトマトケチャップ」500g・300g・180gの3品について、外袋の透明部分が3/4ほどにもなるデザインへ変更すると発表した。こちらが枯渇しているのは「白インク」だ。この製品のパッケージは透明フィルム上に印刷下地として白インクを使用しており、その確保ができないため、40年以上使い続けてきたトマト柄が溢れていた袋を変更、トマト柄は1/4に減ってしまう。カルビーは「白黒」に、カゴメは「透明」に、現象は違うが、背景にある事柄は同じ、色がなくなるという事実だ。
ニューヨークにいる筆者には、当分その売り場の光景は見えないだろう。銀色の遮光素材の上に白黒印刷されたポテチのパッケージや、透明部分が多くなったケチャップの袋が棚に並ぶのは日本の話であり、海外の日系スーパーにその波が届くのはまだ先になるだろう。何より、現時点ではまだ発表があっただけで、消費者が実物を店頭で見かけたとき、そして手にしたとき、何を感じるのか。その反応は、これから明らかになる。
「パッケージは商品の顔」「色は魂」―その顔を変え、魂を削り・無くすことの重さ
ブランディングの世界では「オーナーシップカラー」という概念がある。特定の色が、あるブランドを即座に想起させるほど消費者の記憶に定着した状態を指す。法的には「セカンダリーミーニング(二次的意味)」と呼ばれ、米国では1995年のQualitex対Jacobson Products最高裁判決によって、条件を満たせば色そのものを商標登録できると認められた。
