「買うか、やめるか。」脳はどこで迷うのか 脳科学で解き明かす購買行動のメカニズム

商品を覚えていても、必ずしも人は買うわけではない。記憶に残ることと、実際に行動に移ることは別だからだ。では、人はどこで迷い、どんな条件が揃うと動きやすくなるのか。脳科学の視点から見ると、そこには認知負荷や情報処理の仕方が深く関わっていると、脳科学に詳しい立命館大学大学院の枝川義邦氏は話す。

脳科学が追求するのは「買うまでの過程」

従来のマーケティング調査では、施策を打った結果として、アンケートの回答内容や、そこから読み取れる購買行動を分析することが多かった。もちろんそれでも、施策が当たったかどうかはある程度わかる。だが、ブランドを見つけてから購入に至るまでの“あいだ”に、生活者の頭の中で何が起きていたのかまでは見えづらかった。

ここで昨今注目されているのが、脳科学を活用したマーケティングだ。脳科学に詳しい立命館大学大学院の枝川義邦氏は、脳科学の特徴を「インプットとアウトプットのあいだにあるプロセスを見ること」だと説明する。心理学や従来の調査手法では、ある意味で「知る」から「買う」までの過程がブラックボックスのままでも成立してきたのに対し、脳科学はそのブラックボックスの中身に関心を向ける。

「生活者が何を見たのか、どこに反応したのか、どう判断が動いたのか。脳科学は、施策の成否そのものというより、“なぜそうなったのか”というプロセスを読み解くための手がかりを与えてくれるものです。昨今、注目されている『ニューロマーケティング』も同じ考え方で、生活者が情報をインプットし、行動としてアウトプットするまでのあいだにあるプロセスを、従来より可視化しようとするアプローチだと捉えられます」(枝川氏)。

立命館大学大学院 テクノロジー・マネジメント研究科 教授 枝川義邦氏/東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、博士(薬学)。早稲田大学ビジネススクール修了、MBA。早稲田大学理工学術院教授等を経て現職。研究分野は、人を中心とした経営システムとして、脳科学や心理学に基づいた消費者行動、人材・組織開発、新規事業開発等。

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