「熱中症予防にNG」という“誤解”で売上減少 「経口補水液」市場を襲った悲劇、味の素が挑む反転攻勢 「応援熱中症」プロジェクトの裏側

味の素が5月28日に始動した、経口補水液「アクアソリタ」シリーズの「『応援熱中症』対策プロジェクト」。屋外で声援や観戦、楽器演奏などを通じてスポーツを“応援する人”の熱中症リスクを「応援熱中症」と定義し、正しい水・電解質補給の重要性を発信する取り組みだ。背景には、経口補水液に対する生活者の“誤解”と、市場拡大に向けた課題意識があった。

竹澤拓也マネージャーと「アクアソリタ」

竹澤拓也マネージャーと「アクアソリタ」

経口補水液は、脱水時に失われる水分と電解質を補給するために設計された飲料。一般的なスポーツドリンクに比べてナトリウムやカリウムなどの電解質を多く含むものが多く、熱中症や過度の発汗による軽度の脱水時などに、水・電解質を効率よく補う目的で使われる。一方で、日常的な水分補給として飲むものではなく、摂取制限がある人は医師などの専門家に相談する必要がある。

食品事業本部 コンシューマーフーズ事業部 ニュートリションケアグループの竹澤拓也マネージャーは、経口補水液について「かなり症状がひどくなったときに飲むもの」「倒れたときに飲むもの」といったイメージが一般生活者の間に強く根付いていると話す。一方で、「そうなってしまってからでは遅い」とし、軽度脱水時など適切なタイミングでの飲用を促す必要性を訴えた。

経口補水液の2025年度実績は、市場規模、同社製品の売上ともに前年比でやや減少したという。主要因の一つとして同社が挙げるのが、2025年夏に消費者庁が行った注意喚起だ。

消費者庁は「経口補水液はスポーツドリンクのように日常的な水分補給として飲むものではない」と注意喚起したが、その後の報道などを通じて、「熱中症予防にNG」といった受け止めが広がったと同社はみている。

本来は、軽度脱水時など使用すべきタイミングがあるにもかかわらず、「使ってはいけないもの」のような誤解が一般生活者に広がった。こうした状況を受け、熱中症リスクが高まる夏季に向けて、経口補水液の正しい使用方法を伝える必要があると判断したことも、今回のプロジェクト発足の動機の一つだった。

次のページ
1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事