むすび(Brand Engineering)は、全国の経営者・役員のうち採用に関与する465名と、全国の就業者のうち採用に関与する社員200人を対象に、同一の質問票による「採用実態調査2026」を実施した。調査は2026年7月、インターネット調査。
経営と現場を突き合わせた結果、両者が食い違うのは「何が課題か」ではなく「課題をいくつ認識しているか」であることが明らかになった。
自己評価の差は、企業規模の差
調査では、採用ブランディングの実践度を21項目・5点満点で自己評価してもらっている。平均は経営者2.82に対し現場3.02。数字だけを見れば、現場のほうが自社を高く評価していることになる。
ただし両サンプルは企業規模の構成が異なる。現場サンプルは売上50億円以上が約6割を占めるのに対し、経営者サンプルは5億円未満が約4割。実践度はそもそも企業規模とともに高まる傾向があり、経営者調査では5億円未満2.42、250億円以上3.41と1点近い開きがある。
そこで売上規模帯をそろえて比べると、5億円未満では現場が2.62・経営者が2.42、5〜50億円では現場2.51・経営者2.82と、どちらが高いかは帯ごとに入れ替わる。立場による一貫した差は確認できない。「現場のほうができている」は、規模構成が生んだ見かけ上の差だった。
経営者の3割は「課題ゼロ」
採用課題は26項目からの複数選択で聞いている。新卒で選択率が高かったのは「母集団の質が低い」(経営者20%/現場26%)と「母集団が集まらない」(同19%/26%)で、上位の顔ぶれは立場を問わず変わらない。差が現れたのは課題の中身ではなく、認識量だった。
1人あたりの選択数は、新卒で経営者1.84個に対し現場2.50個、中途で1.58個に対し2.42個。いずれも現場のほうが0.7〜0.8個多い。
分布で見るとその差はより鮮明になる。新卒採用で課題を1つも挙げなかった回答者は経営者の29.6%に対し、現場は14.8%。逆に3個以上を挙げたのは経営者28.3%、現場40.6%だった。経営者の約3割が課題を挙げない一方、現場で同じ回答をしたのは7人に1人にとどまる。