SNSで高価格帯商品は売れるのか? ヘアケアブランド売上18億円まで伸ばしたインフルエンサーマーケティングの勝ちパターンとは

SNSを起点に、高価格帯の商品をどこまで売れるのか。ナハト取締役の渡辺智裕氏は9月16日に都内で開かれた「アドタイ・フォーラム」(宣伝会議主催)に登壇し、自社のヘアケアブランド「Cleo’s Beauté(クレオズボーテ)」を例に、年間売上18億円に至るまでの取り組みを紹介した。広告費をInstagramに集中し、年間約600人のインフルエンサーと協業。投稿後の購買データを基に、表現や販売ページを改め続けたという。

SNSで売るために開発した高価格帯のヘアケア

ナハトは2018年創業。インフルエンサーマーケティングやSNS広告の運用を手がける一方、自社ブランドも展開する。「事業創造マーケティング」を掲げ、商品を自ら開発・販売することで得た購買データを、マーケティング支援に活かしている。

その事例が、2022年に商品が完成した「Cleo’s Beauté」だ。量販店の手頃な商品とサロン専売品の間に「プレミアムホームケア」という選択肢を設け、髪の変化を感じ始める30代後半から40代の女性を主な対象としている。

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製品の特長は、ケラチン5種とペプチド1種を組み合わせた日本初処方※1という機能性、天然由来成分にこだわった香水のような香り、そして自信を宿す世界観の3点である。渡辺氏は、「機能で選ばれ、香りで記憶され、世界観でファンになる」というブランド思想を込めて商品開発に取り組んだと述べた。

渡辺氏は、SNSで商品を売るD2Cブランドでは、商品の対象者と発信者、伝え方を組み合わせて検証することが重要だと語る。Cleo’s Beautéでは、商品の外観と使用場面の双方を見せられるInstagramに絞った。

価格は8800円。オンラインの定期購入で販売を始め、2024年に累計50万本、2025年に累計100万本に達した。同年の売上は18億円。高価格帯の定期購入商品でもSNS経由で売れると証明した。

写真 人物 ナハト取締役の渡辺智裕氏

ナハト取締役の渡辺智裕氏

購買の起点はすでにSNSへ

続いて渡辺氏は、現代のマーケティングにおけるSNSの重要性について言及した。Z世代のSNS購買行動調査※2によれば、20〜40代の買い物の起点はすでに検索エンジンからSNSへと移行しており、商品やサービスを調べる際に最初に使うサービスとしてSNSが検索エンジンを上回っている。このデータから、SNSは単なる認知獲得メディアではなく、「検索と購買意思決定の入口」になっていると分析した。

また、各SNSプラットフォームは成熟期に入り、それぞれが独自の「役割」でユーザーに認識されていると指摘。YouTubeは「検討・比較」、Instagramは「世界観・購買」、TikTokは「発見・拡散」、Xは「情報・話題化」といったように、生活者は目的に応じて各SNSを使い分けている。

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この環境下で重要なのは、「どの媒体が正しいか」を問うことではなく、「どの媒体で」「どういうインフルエンサーを選び」「どのようなクリエイティブで伝えるか」を、コストも加味しながら検証していく必要があると渡辺氏は振り返った。

Instagramに広告費の9割を集中

渡辺氏によると、広告費の約9割をInstagramに投じた。対象となる30~40代女性との相性に加え、写真や動画で商品の世界観を表現しやすいことを重視した結果だという。

成果を出すインフルエンサーは「憧れ」と「親近感」の二面性を両立させていると渡辺氏は指摘する。フィードやリール投稿で洗練された「憧れ」の世界観を提示する一方で、ストーリーズやライブではリアルな日常や素顔を見せる「親近感」を醸成する。このギャップが、遠い存在であったインフルエンサーを身近に感じさせ、「この人が使っているなら私も使いたい」という購買動機を生み出すという。

起用したInstagramのインフルエンサーは年間約600人。中心となったのはフォロワー数5万~30万人程度の層で、美容・ファッション、愛用者、使用感の共有、効果の提示、家族での使用といった役割に分けた。例えば家族向けの発信をする人には、家庭で商品を使う場面を表現してもらう。フォロワー数だけで選ばず、誰がどの購入理由を伝えるかを設計した。

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投稿は一度きりの依頼で終わらせず、本人が商品を理解し、気に入って使ってもらうように担当者が対話を重ねた。渡辺氏は、商品が単なるPR案件として受け止められると、継続的な投稿につながりにくいと明かした。

投稿後の数字を見て、販売ページまで直す

投稿後はインフルエンサーごとの成果を確認し、訴求や表現を見直す。購入につながった投稿の構成に加え、投稿から移動するランディングページ(LP)やキャンペーンも改善した。渡辺氏によると、LPは月に約20回手を入れることもあった。季節に応じて伝え方を変え、数字を確認して再び修正する作業を続けたという。

購入の結果を見て、起用した人の属性だけでなく、どの説明や画面が機能したのかを確認する。インフルエンサーの投稿とLPの内容がかみ合って初めて、関心を購入へつなげられる。商品を紹介してもらうところから、購入後の数字までを一連の仕事として扱った。

渡辺氏が強調したのは、商品を売る仕組みを先につくり、その後にブランドの認知を広げる順番だ。売上の基盤を築いてからKey Opinion Leader(ファッションモデル・女優の山田優)とのコラボレーションやリアルイベント、タクシーサイネージなどSNSの外に施策を広げた。こうした取り組みの後に指名検索が増え、顧客獲得単価も改善したという。

インフルエンサーを継続的なパートナーに

「Cleo’s Beauté」の成功の裏側には、ナハト独自の「専任エージェント」体制が存在すると渡辺氏は明かした。このエージェントは、単にインフルエンサーをキャスティングするだけでなく、成果が出るまで伴走し続けるパートナー的な存在である。

エージェントは、個々のインフルエンサーと深くコミュニケーションを取り、商品の魅力を本人の言葉で伝えられるよう、企画・構成・台本制作までを共に行う。渡辺氏はこの役割を「マネージャーであり、マーケターでもある」と表現した。この一貫した体制により、クライアントとインフルエンサーの間に介在するのはナハト1社のみとなり、スムーズな連携が可能となる。この強固な体制を、約200人からなるエージェント組織が支えている。

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AI時代におけるインフルエンサーマーケティング

最後に渡辺氏は、今後のインフルエンサーマーケティングの展望について語った。これからはインフルエンサーを単なる「広告枠」として捉えるのではなく、「SNSで成果を共につくるパートナー」として捉え直すべきだと提言。フォロワー数といったリーチの広さだけでなく、ブランドとの適合性や本人の言葉で伝える力、そして関係性から生まれる信頼が、行動や購買を動かす上で重要になるとした。

それこそが、AIが広告クリエイティブを生成する時代に価値が高まると強調した。AIが担う「速く、広く、効率よく回す」ことと、人が担う「文脈を読み、関係をつくり、泥臭く伴走する」ことを掛け合わせることが、AI時代にブランドが選ばれる理由となり、成果へとつながる。

「AIで広告を作れる時代だからこそ、最後に差がつくのは人の心を動かす力。ナハトは、その“人が人を動かす理由”をデータ化し、認知で終わらせず、売上までつなげていく」と述べた。

※1 ケラチン5種とペプチド1種の特定の6つの組み合わせにおいて。2026 年 4 月期日本初であることの証明・検証調査、調査機関:日本マーケティングリサーチ機構、調査期間:2026 年 3 月 25 日~2026 年 4 月 3 日、備考:2026 年 4 月時点/効果効能等や優位性を保証するものではない
※2 出典:Tatap「Z世代のSNSショッピング利用実態調査(2026年)」

お問い合わせ

株式会社ナハト

URL:https://nahato.co.jp/
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