テレビ番組を“切り抜き前提”で設計 AnyMind、SNS拡散からTikTok Shopでの購買まで支援

縦型動画や体験談、レビューなど、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用は、いまやSNSマーケティングの定番となった。企業だけでなく、誰もが“それっぽい”動画をつくり、発信できる。

一方、似たような投稿があふれるほど、「誰が言っているのか」「本当に信じていいのか」が問われる。AnyMind Japanは、UGCが「標準装備」になった次のフェーズでは、表現の自然さだけではなく、その情報を信じられる理由をどうつくるかが重要になると捉える。

9月16日に都内で開かれた「アドタイ・フォーラム」(宣伝会議主催)では、「インフルエンサーマーケティングは次のフェーズへ ― AnyStream Max × TTOが変えるSNS戦略」と題したセッションを実施。AnyMind JapanからBrand Marketing CRO, Vice Presidentの福本龍馬氏と、AnyStream Max事業責任者の磯野考伸氏、ByteDanceからGlobal Business Solutions-APAC-JP-Ecommerce Client Partnerの杉本公佑氏と石原正人氏が登壇した。

議論の中心は、投稿するインフルエンサーの選定に加え、良質なコンテンツを生み出し、複数の接点で活用しながら成果へつなげる設計にあった。セッションでは、テレビ番組の制作・放送から、放送素材のSNS向け短尺化・拡散までを支援するサービス「AnyStream Max」を紹介。TikTokの仕組みと組み合わせることで、テレビからSNS、さらにTikTok Shopでの購買までをつなぐ戦略を示した。あわせて、テレビや著名人、専門家、第三者メディアなどが持つ「信頼」を、SNSマーケティングにどう生かすかについて議論した。

「UGCらしさ」の次に問われる“誰が言うか”

サイバー・バズ/デジタルインファクトが2024年11月7日に公表した調査では、国内ソーシャルメディアマーケティング市場は、2024年の1兆2038億円(当時の見通し)から2029年には2兆1313億円へ拡大すると予測された。インフルエンサーマーケティング市場も、2024年の860億円(同)から2029年には1645億円への拡大が予測されている。

しかし、市場が広がるほど、UGC風の動画をつくるだけでは差別化しにくくなる。

(左から)福本龍馬氏、磯野考伸氏、杉本公佑氏、石原正人氏

福本氏は講演で、UGCやインフルエンサーによる発信が広がる一方、「見る側の目線も厳しくなってきている」と指摘。そこで改めて重要になるのが、著名人や専門家、テレビ、第三者メディアなどが持つ「信頼」だと指摘した。

実際、TikTok を運営するByteDanceが紹介したデータでは、UGC動画のみの場合と比較し、テレビ番組の切り抜きクリエイティブを展開した後には、興味関心の変化が大きくなった事例も見られた。一方で、著名人との広告契約やテレビを使った大規模な露出には相応の費用がかかる。

講演では、この「信頼を得たいが、コストが高い」という課題が新サービス「AnyStream Max」の出発点になったと説明した。

テレビ番組を「切り抜かれる前提」でつくる

「AnyStream Max」の特徴は、SNS動画から逆算してテレビ番組そのものをつくる点にある。

まず、テレビで見慣れたタレントなどをMCに起用し、企業の商品やサービスを取り上げるオリジナル番組を制作する。

この段階から、後にSNSで切り抜かれることを想定。「芸人のリアクションを大きめに取っておく」など、短尺動画になった際に目を引く場面を意識して収録するという。

完成した番組は局考査を経てローカル地上波で放送する。その放送素材を多数の短尺動画に分け、SNS投稿や広告クリエイティブとして活用する。

コスト面でも従来とは異なる。福本氏によると、タレントを広告出演者として契約するのではなく、番組のMCとして出演してもらうことで、キャスティング費を抑えられる場合があるという。

テレビと並行してYouTube向けの番組も制作し、それぞれの媒体特性に合わせた素材を切り抜きに活用する。短尺化した素材は、例えば1~3カ月程度活用し、反応を検証しながら改善を重ねる。

従来のテレビ番組やインフォマーシャルのように「放送して終わる」のではなく、制作した映像をSNS上で継続的に使うことで、制作費や広告費を“資産化”する考え方だ。

TikTok Oneとの連携で得られる相乗効果

このAnyStream Maxと組み合わせるのが、ByteDanceの「TikTok One(TTO)」だ。

TikTok Oneは、TikTok広告を活用する企業や広告会社向けに、クリエイターの検索から制作依頼、効果測定までを一つのプラットフォームで行える仕組み。一定規模以上のTikTokへの広告出稿などを条件に、クリエイター支援として制作費の一部を負担する枠組みもある。

AnyStream Maxでテレビ番組を制作・放送し、そこから短尺動画をつくる。TikTok Oneの制作支援の枠組みとTikTok上での広告展開を組み合わせ、テレビからSNSまでコンテンツを一貫して活用する。

講演では実施例として、プロテインを販売する企業の施策を紹介した。芸人が商品を題材に大喜利をする番組を制作し、その一部を短尺化。TikTok上のコンテンツや広告素材として展開した。

磯野氏は、従来は「テレビに振り切るか、SNSに振り切るか」という二者択一になりやすかったと説明。その中間をつなぐ手法として、テレビで得られる著名人や番組の「信頼」と、SNSの拡散力を組み合わせる狙いを示した。

TikTok Shopへ直結し販売までをカバー

さらに両社が進めるのが、TikTok Shopとの連携だ。

構想では、まずTikTok Shopでの商品販売を意識したオリジナル番組を制作。その放送素材をSNS向けに切り抜き、TikTok上で拡散し、動画からTikTok Shopへ誘導する。「番組→切り抜き→購入」までをつなぐ。

ByteDanceによると、日本のTikTokとTikTok Liteの月間アクティブユーザー数は、重複を除き2026年5月末時点で約4950万人。日本のTikTok Shopでは、利用者のうち35歳以上が約6割を占めるといい、「若年層中心」というイメージとは異なる利用実態も紹介した。

日本のTikTok Shopでは、2025年6月30日から2026年6月30日までの流通総額(GMV)の70%以上が、ショート動画やLIVE配信などのコンテンツを起点とした購入によるものだという。商品を検索しに来た人に売る従来型のECに対し、動画を見ている途中で商品と出会い、興味を持ち、そのまま購入する「ソーシャルコマース」を特徴とする。

AnyStream Maxによる切り抜き動画についても、石原氏は質疑応答で、通常のコンテンツと比べて投稿直後のトラフィックを集めやすく、コンバージョンにもつながり始めていると説明した。

施策自体が走り始めた段階であり、両社は今後、AnyStream MaxとTikTok Shopを組み合わせた取り組みの成果を公開していくとしている。

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AnyMind Japan株式会社

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