パワーポイントを上手に使って、スマートなプレゼンをする人が増えている。ポケットに片手をつっこみステージ上を歩き廻りながら、著名な学者やカリスマ経営者のスタイルを模倣したプレゼンをする人もいる。ビジネス・スクールで教えてくれるプレゼン技法も、そういうステレオタイプなものが多い。セミナーなどで、そのような同じスタイルのプレゼンが続くと、なんだか笑ってしまいそうになる時もある。まったく個性がないのだ。
プレゼンは、もちろん様々なスタイルがあった方が面白い。まず、自分が経験したプレゼンの中から自分に合ったスタイルを選ぶことだ。細かなことはあまり気にする必要はない。たとえば、“あがり症”の人は、それを気にしたりするけれど、私の経験では、プレゼンする人は少しあがっているくらいの方が、伝えたい、分かってほしいという前向きな情熱が感じられて、好感をもたれる場合が多いと思う。
もう一つ大切なのは、プレゼンの受け手に合わせながらも、プレゼンのスタイルを自分でより多様に開発していくことだ。そのクライアントに一番ピッタリの方法を見つけたら、それを使えば安定した提案に見えるし、新しい内容のプレゼンなら、そのスタイルの正反対をやれば革新的に見えるだろう。
そして、いろんなパターンを作り、試した上で最終的にたどりつくのは、極めてシンプルなプレゼンではないかという気がする。明快なストーリーとロジックで、マクロとミクロな視点から考え抜いた“一行の結論”を鮮やかに提示することができれば、パワーポイントのオーバーな文字の動かしや豪華なプレゼンボードは不要だろう。しかし、いきなりその境地に達するのは難しいかもしれない。まず、毎回新しいプレゼンスタイルを試みて、作り出した30種類ぐらいのスタイルの中から、最も自分に合ったものを5つから3つくらい残して、自分のものとして磨いていけば、おのずとその人はプロフェッショナルと言えるレベルに近づいていくだろう。
※連載「プレゼンテーションの奥義」は今回で終了です。ご愛読ありがとうございました。
白土 謙二「プレゼンテーションの奥義」バックナンバー
- 第6回 巻(六) プレゼンとは“シンプル”なものである。(10/18)(こちらの記事です。)
- 第5回 巻(五) プレゼンは“知的ゲーム”である。(9/27)
- 巻4回 巻(四) プレゼンの切れ味は“一行”にある。(9/13)
- 第3回 巻(三) プレゼンの良悪は“オリエン”で決まる。(8/23)
- 第2回 巻(二) プレゼンは“密室の演劇”である。(8/2)
- 第1回 巻(一) プレゼンは“決定のための儀式”である。(7/19)
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