米広告会社ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)日本法人は、06年から毎年発表している、その年の「10大トレンド」の2011年版を発表した。トレンドの内容はJWTニューヨーク本社のトレンド調査チームが、各国の同社プランナーの視点や調査結果と、小売りや、メディア、テクノロジー、学術界などにインタビューしたもの。これに日本の状況を踏まえた視点を加えた。
2011年10大トレンドのキーワードは次のとおり。
- 「この世のすべてはゲーム」
- 「急(せ)き立てる経済」
- 「コミットメント不在の文化」
- 「食べて、祈って、テクノロジーして」
- 「脱ハイテク」
- 「小売店の第3空間化」
- 「独創的な都市再生」
- 「衝突する世界」
- 「超パーソナライゼーション」
- 「自己管理の外注化」
1.「この世のすべてはゲーム」
ブランドのコミュニティーやコンテンツ、キャンペーンなどへの消費者の関与を促すため、ゲームの仕組みを取り入れて、消費者を刺激する
事例
米Brain Shift財団のプロジェクト「Energy Smack Down」というゲームは、米マサチューセッツ州のいくつかの街で、人々がどれだけ光熱費を節約できるか競うというもの。近隣の家庭に比べて、自宅がどれだけ節約できているか、定期的にレポートされる。最新の結果では、参加した家庭で電気代が平均14%減、暖房費が平均17%減少した。優勝した家庭は、光熱費を66%削減させた。
米カリフォルニア州サクラメント市では、市営公益事業会社が、近隣の家庭よりエネルギー消費が少なかった家庭の請求書に「Smiley-Faces」(笑顔のマーク)を掲載。開始から半年後の調査で、マークが掲載された家庭は、掲載されなかった家庭に比べてエネルギー消費が2%減ったことが分かった。結果、全米の公益事業会社が同様のアイデアを採用することになった。
2.「急き立てる経済」
若く流行に敏感で情報通の買い物客の間では、「一刻も早く、今すぐ購入」といった買い物行動が見られる。「今すぐ行動に移してもらう」という戦略をインターネットから現実世界まで広げ、景気後退前にあった、「買ってから考える」行動に人々を戻そうという考え方。
事例
米カジュアル衣料大手GAPは2010年11月20日、フェースブックで1日限定セールの告知を行い、米国とカナダの同社運営店舗のレジで「フラッシュ40」と告げると、セール商品を含めて40%引きするようにした。同社グループ発行のクレジットカード所有者なら、45%引きした。
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