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ブランドとは今、何を売っているかで規定されるべきものではない――IBMコーポレーション ジョン・C・イワタ氏

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3月15日に発売になった「宣伝会議」では、「デジタルで変わった、顧客と企業の共創関係」のテーマで特集。コモディティ時代にメーカーにも求められている“製造業のサービス化”というテーマについて、サービスサイエンスの専門家への取材などを通じて取り上げた。この特集に関連し、編集部では3月上旬に来日したIBMコーポレーション マーケティング&コミュニケーションズ シニア・バイス・プレジデントのジョン・C・イワタ氏にインタビューを行った。

パソコン事業をレノボ・グループに売却し、経営資源を業務系システム・ソリューション事業に集中させる戦略をとったIBM。しかしBtoC事業の売却により、事業全体がBtoB化。そこでの懸念はコーポレートブランドの認知低下であったという。そこで、IBMはどのような戦略をとったのか、イワタ氏に話を聞いた。

――IBMのブランド戦略をどのように考えているか。

PC事業をレノボ・グループに売却し、当社の事業が完全にBtoBへと転換した際、私たちはブランドへの想いが低下することを懸念した。しかし現時点では、むしろブランドバリューは高まっている。インターブランドが発表した「グローバル・ブランドランキング」でも3位に入っている。なぜか。それは、ブランド力は認知度ではなく、レレバンシーにより決まるからだ。

PC事業の売却後、IBMでは「Smarter Planet」というコーポレートビジョンを提唱してきた。これは環境、エネルギー、食の安全など、地球規模の課題をITの活用により解決し、地球をよりスマートにしていくという我々の考えだ。これを設定したことが、IBMブランドを強めることに貢献していると考えている。

コンシューマー向けか、ビジネス向けかではなく、我々企業は個人に対してビジネスをしていると考えている。つまり、我々はBtoP(People)の会社だと規定しているのだ。コンシューマーではなく、対個人として考えれば、エネルギーのことも交通のことも、色々なことに関心があることがわかる。そして、そうしたテーマの課題について、テクノロジーを通じて、改善をもたらすことができれば、ブランドとの関係性を深めることができると考えている。

――IBMという会社はハードウェアからソリューションサービスへと、コアコンピタンスを明確にしたうえで、事業内容は時代に合わせて変化させてきたと思うが。

私たちの会社の歴史は時計をつくり、秤をつくるところから始まり、チーズをスライスする機械をつくり、さらにパンチカード、計算機、タイプライター、そしてPCと時代に合わせてプロダクトは変わってきた。

マーケターは、自分たちが今、売っているものを即、コーポレートブランドに結びつけて考えてしまいがちだ。ある特定の期間に成功したプロダクトがあると、そこに基盤を置きたくなってしまうものだが、時計あるいはPCとIBMを結び付けてしまうと、その印象がコンシューマーの心の中に残り、時代が変わって業態を変えなくてはならない時に、障害になってしまう。

ブランドとは「今、何を売っているか」で規定されるべきものではない。IBMで言えば、我々は常にイノベーションを支持しており、テクノロジーその活用が社会におけるビジネスを進歩させるものと信じているという姿勢がブランドの根幹である。そしてプロダクトやサービスレベルでのコミュニケーション以前に、その基盤となるコーポレートコミュニケーションをつくることが大切だと考えている。

(ジョン・C・イワタ氏のインタビュー全文は「宣伝会議」4月1日発売号に掲載します)