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コラム

健康・医療・美容でビジネスをするためのコラム

なぜ今、ヘルスケアマーケットに注目が集まるのか?(中)

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【前回コラム】「なぜ今、ヘルスケアマーケットに注目が集まるのか?(上)」はこちら

今年の春から始まる新しい「食品機能性表示制度」により、健康機能性の根拠を示す複数の科学的根拠の届け出をもって、その飲食料品の機能性表示が可能となる。健康・美容ビジネスへの注目の高まりの背景、またそこでのマーケティング・コミュニケーションのポイントについて、宣伝会議が3月12日に開講する「ヘルスケアマーケティング実践講座」の講師であり、マッキャンヘルスケア ワールドワイドジャパン CKO(最高知識責任者)の西根 英一氏に聞いた。

本記事は、宣伝会議2015年3月号の特集「新しい機能性表示制度スタートで盛り上がる!ヘルスケア市場のマーケティング」の掲載記事より、一部抜粋したものです。

治療医療から予防医療へ 食+健康のさらなる高まり

今、注目されるのが、「食品機能性表示制度」だ。国の政策は医療費が膨張する中、治療医療から予防医療へと大きくシフトしている。そして、その予防医療の中心にあるのが、「食」である。単に安全・安心といった基点を求める食生活に留まらず、さらにpromotion focusな視点で健康を見つめる食生活が世の中ゴトとして推奨されていくことにつながる。食品機能性表示制度はこの春、加工品だけでなく生鮮品(農産物や海産物)も対象として、施行される。さて、そこで活気づくのは大手の食品メーカーや優良な健康素材メーカーだけだろうかといえば、そんなことはない。コンビニエンスストアやスーパーマーケットといった商品棚を持つ流通業も、その商品開発に介入する商社も、情報のプラットフォームを持とうとする情報通信業や情報システム会社も、この市場(食品機能性表示市場)に参入してくる。

食品機能性表示制度とは?
2015年春から創設される新しい機能性表示制度。従来の特定保健用食品(トクホ)のように、臨床試験を伴う許認可制でなく、成分・素材・食材が持つ健康機能性の根拠を示す複数の科学的根拠の届け出をもって、その飲食料品の機能性(体への効能)表示が可能となる。消費者庁の監督のもとに実施。加工品だけでなく、野菜、果物、魚介類といった生鮮品も、その対象に含まれる。

そればかりか、あっぷあっぷの飽和状態で、なかには瀕死状態にあるような“ゆるキャラ”に代わり、地方経済活性化の救世主として、食品機能性表示制度市場は大注目されることになるだろう。経済活性化をもくろむ地方自治体の、次なる一手は何か?その筆頭株が「ご当地トクホ」である。ご当地トクホとは言っても、正確にはトクホではない。この制度は、トクホのように臨床試験を伴う「許認可制」ではなく、成分・素材・食材が持つ健康機能性の根拠を示す複数の科学的論文をもとに条件を整えた「届け出制」で、その飲食料品の健康訴求が叶うというもの。トクホという制度を見てきた消費者庁の監督のもとに実施される。

ここで注目すべきは、加工品だけでなく、野菜、果物、魚介類といった生鮮品も、その対象になっていることだ。つまり、地方経済活性化の救世主は、「ご当地」産や「ご当地」製の飲食料品ということである。まさに、日本全国47都道府県、1742市区町村の自治体、そしてローカル企業にとっての朗報である。さらに、この「ご当地トクホ」をめぐっては、地場産業とローカル企業、さらに医学部や薬学部ないし栄養学部などを持つ地元大学と、相互に連携し合う機会を創出する。まさに、《共創社会》が基盤となるだけに、“ゆるキャラ”以上に地元に愛されるポテンシャルを秘めているのだ。

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