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ブランド戦略としての「物流」—“成功企業”は物流を重視する

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第5号(2015年11月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

勝つ企業は、戦略物流を重視する

「えっ、物流?」――タイトルを見て、そう思った人も多いのではないだろうか?『100万社のマーケティング』というタイトルの本誌を読んでいる方は、物流とマーケティングは違うものと考える人が多いだろう。本当にそうなのだろうか?本稿を最後まで読めば、それは大きな誤解だったと思うはずだ。

世間で今、調子がいい会社には、どんな会社があるだろうか?

この質問をすると、一番多く挙がる会社は「Amazon」だ。さらに、「なぜ、あなたはAmazonで買うのですか?」と質問したい。いろいろな理由があるだろう。まず、たくさんの商品があるから。次に、早く届くから。そして、送料無料で買えるから。少数派の意見は省けば、たいてい、この3つの回答に集約される。これらは、すべて物流に関連してないだろうか?

そう、Amazonの強みは「物流」なのだ。Amazonの創業者のジェフ・ベゾスが、「Amazonは、ロジスティクスカンパニーだ」と言うほどである。Amazonはなぜドローンを飛ばそうとしているか? なぜ100箇所を超える物流センター(フルフィルメントセンター)を持っているのか?なぜ「アマゾンロッカー」を始めたのか?

といったいくつかの疑問は、「Amazonは物流を重視する会社だから」という回答につながる。

Amazonより物流が弱い会社は、Amazonによってますます市場から押し出されていくことだろう。実際に米国では、Amazonを経由する流通総額は、Eコマース市場の4割近いシェアを持つまでになっている。

戦略物流とは何か?

戦略物流を語るときに、「物流思考」と「戦略物流思考」の解説は外せない (図1) 。物流思考は、物流を生産性で捉え、戦略物流思考は、物流を戦略として捉える。物流をコストセンターとして捉えて、物流6大機能(輸配送、保管、荷役、包装、流通加工、システム)それぞれで相見積もりを取ることも重要である。また、物流を戦略として捉えて、コストアップしてでも納期を短縮することも重要だ。物流思考と戦略物流思考は、相反する考えでも、排他的な考えでもない。両立できる考え方である。

図1 「物流思考」と「戦略物流思考」

セブン-イレブンを見てみよう。セブン-イレブンはドミナント出店することで有名だが、これは物流効率を考えてのことである。1日24時間を8時間ずつ3分割し、1台のトラックが8時間ごとにルート配送で店舗に商品を納品している。だから、この8時間を超えるような場所には出店しないし、出発点となる物流センターや惣菜センターは、店舗群の中心になる場所に常に移動させている。それほど徹底しているので、もし店舗開発メンバーが良い場所を見つけたとしても、物流サイドがGOを出さなければ、出店できないのだ。

日清食品のカップ麺や花王の洗剤のパッケージの大きさを、物流を理由に変えたりしていることをご存知だろうか?

日清食品では、もともと店頭で目立つからと大きくフェイスが取れるパッケージにしたのに、物流効率を考えて形状を変えたことは一度ではない。セブン-イレブン、日清食品や花王などの“成功企業”は、物流を重視するから、物流メンバーが大きな発言権を持っている。

次ページ 「負け戦は、物流軽視で負ける」へ続く