広告主が求めているのは、代理店の新しいメニュー

複雑化する広告主課題と代理店の提案にズレ

独立してからの仕事として、広告主側にたって例えばオリエンを手伝ったり、ないしは実施中のキャンペーンに対する評価・アドバイスを行うことも増えている。広告代理店側が提出した、ないしは実施中のアイデアを見ることも、ミーティングに参加することもしばしばあるのだが、最近残念なのが、「このアイデアは広告主の何を解決するために提出されたのか?(ないしは実施されたのか?)」がよくわからない場面に出会うことがあるということ。

もちろん企画した代理店側の人間は「広告主のことを考えて」作ってるはずだし、彼らが「何も考えていない」ということを指摘しているわけではない。そうではなく、「広告主の課題を解決する」という商売の中でもっている「メニュー(品揃え)」が変わっていることに追いつけてないのかもしれない、という懸念をもっているか? ということだ。

広告主が「広告をやりたい」と考えたときに、いくらか前までは広告代理店の中にそれに応える全ての回答についてメニューが揃っていた。客のニーズと店側の品揃えがマッチしていたので、それが順風満帆に回っていたのだろう。しかしながら、最近は広告主側の思いというのは多様化/複雑化しており、それを解決するためには広告代理店のメニュー外にしか答えがないこともあったりする。

話題の新手法より課題の本質理解を

単にこれは「もうマスメディアの時代じゃないよね」ということでもないし、「ソーシャルメディアだよね」とかでもない。「今までのメディアが否定されている気がするから新しいメディアを使って何かする」という単純な「メディアの置き換え作業」で解決するものではない。例えば「ソーシャルメディアを使って***する」という提案自体が、実は長年に渡って染み付いた「メディアありき発想」ではないか? という疑問をもつことが必要なのだと思う。

また、昨年は広告主側に座って代理店側のプレゼンを聞く機会も多く、とりわけ「戦略PRが大事です」という提案を耳にする回数が多かったのだが、それら「戦略PR」の内容は「メディア露出」にすぎなかった。そのため広告主からすれば「安くメディア露出」できるというぐらいの理解であり、CMを打って認知理解を獲得することと結局は同じだった。このように新しいように見えて本質的には単なる「置き換え」じゃないのか? と考えてみることも大事だろう。

自分たちの手元にある「やり方」ないしは、慣れ親しんできた「考え方」を見つめ直すこと、また一方で「話題の」新しい手法が実は本質的にはこれまでやってきたことと同じだったりすることに気づけること。だから「客のオーダー」に答えることができないという可能性がある、ということを理解して欲しいと思う。

実際広告主が「代理店に頼んでもムダだよね」と思うときは、「代理店の作業メニューにない」ということを暗に気づいているときなのであって、単純に「媒体枠を売りつけられるから」ということではない。今、広告主は代理店にメニュー変更や裏メニューを求めているので、これを準備しない限り代理店への批判はとめることができないだろう。残念ながら。

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高広 伯彦(スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/ユニバーサルプランナー)
高広 伯彦(スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/ユニバーサルプランナー)

1996年博報堂入社。その後、博報堂DYメディアパートナーズ、電通で主にイン
タラクティブ・マーケティング領域のビジネス開発や広告主のキャンペーンに携
わる。2005年にグーグル日本法人に入社し、新しい広告のインフラづくりに取り
組む。2009年1月に独立し、「スケダチ 高広伯彦事務所」として活動。広告主の
プランニングやビジネス開発を支援する。

株式会社スケダチ: http://sukedachi.jp/
個人ブログ: http://mediologic.com/weblog/
Twitter: @mediologic, @sukedachi_jp
Facebook: sukedachi

高広 伯彦(スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/ユニバーサルプランナー)

1996年博報堂入社。その後、博報堂DYメディアパートナーズ、電通で主にイン
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わる。2005年にグーグル日本法人に入社し、新しい広告のインフラづくりに取り
組む。2009年1月に独立し、「スケダチ 高広伯彦事務所」として活動。広告主の
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