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コラム

i(アイ)トレンド

リキッド・アンド・リンクド戦略を展開する先は「トリプルメディア+1」

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今後も積極的な関与が求められるEarned、他社との協働で進めるShared

次に“Earned”メディアであるが、このメディアの中ではブランドが関与していようといまいと、常に会話が発生している。そこで出てくるのが「リキッド・アンド・リンクド戦略」の中でもDistributed Creativity(拡散されるクリエイティブ)というコンセプトである。先週のコラムでも紹介したが、Sharedメディアではユーザーに生成されるコンテンツのほうがはるかに多く、効果的である。ブランドが自ら発信するImpressionより、ユーザーが自ら発信するExpressionの方がはるかに重要なのである。

今までもユーザーはブランドやキャンペーンに対する意見を持っていたが、ソーシャルメディア(≒Sharedメディア)の登場でそれを表現しやすく、そしてそれが今までよりはるかに広がりやすくなっている。ブランドのストーリーを消費者が自ら発信して伝えてくれる状況を生み出せればこんなに効率的なことはない。企業サイドも自らコントロールできないとはいえ、ユーザーの考えに影響を与える情報を提供したり、Expressionするツールを与えたり、広まりやすいコンセプトを考えることはできるであろう。それがリキッドであればより広まり、リンクドであればよりブランドのメッセージに近いものになるはずだ。

Distributed Creativityの例

クラーク氏によると今後、ブランドは“Earned”メディアに積極的に関与していき、消費者の声を直接聞かねばならないだろうと強調し、英国のソーシャルリスニングを通じてのファン獲得の事例を紹介している。このように一人をファンにすることは重要であるが、それはExpressionがその人のネットワークに広がっていくことがあるからである。これからはどれだけブランドのファンを増やすことができるかということがEarned上のポイントとなろう。

最後に新しく出てきた“Shared”メディアであるが、これは他社と共同で運営するものということであるようだ。たとえば流通の店内で展開される広告は、単独で行っているものではないのでSharedと定義付けている。このプレゼンテーションでは触れられていないが、例えばスポンサーシップやライセンスグッズなどもこの中に入ってくるであろう。クラーク氏によるとSharedメディアはインテグレーションすることが重要である。というのも、得てして購買の現場であるお店の外側ではすばらしいストーリーを展開しているのに、実際に購買される現場では何も行われていないケースが散見されるからである。実際の購買が行われる店内でのアクティベーションは非常に重要であるが、プランニングの段階で忘れがちになるので、敢えて既存の3つのメディアに入れずに別にしたという風にも考えられるのである。

2週に渡って紹介した内容をまとめると、メディア環境の変化によりマーケティング戦略を変更する必要が生じてきた。そしてそれぞれのメディアの特性を理解したうえで「リキッド・アンド・リンクド戦略」を実践し、あらゆる消費者との接点で有効にコミュニケーションを行う必要があるということだろう。このような考え方や実践例が今後も出てくるはず。その際にはこの場を借りて紹介したいと思っている。

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