東日本大震災から約10ヶ月が経過し、被災地では、地域経済の再生・復興に向けた動きが続いている。そんな状況の中、多くの課題を抱える被災地では、町おこし、少子高齢化、環境、貧困問題といった社会的課題をビジネスの手法で解決し、新たな産業と雇用の創出にも寄与する「ソーシャルビジネス」に対する関心が高まりつつある。
経済産業省では、このような動きの普及拡大に向けて、被災地の復興に貢献するソーシャルビジネスの事例を取りまとめ、「ソーシャルビジネス・ケースブック 震災復興版( ~被災地の復興に向けたソーシャルビジネス~」を作成。ウェブで公開している。
この事例集では、東日本大震災の復興に資するソーシャルビジネスの成功モデルとして期待される事例や、ソーシャルビジネスの芽となる事例を収集。被災地の生活支援ニーズを解決する事例や、被災した事業者向けの新たな資金調達の仕組みを構築した事例、新たなビジネスモデルの被災地から全国への波及が期待される事例など、27事例を紹介している。
例えば利用者のニーズに応じて運行するオンデマンド型の移動サービス「コミュニティタクシーモデル」、資金調達に苦慮する被災企業を支援するため、少額出資が可能な個人向けファンドのサービスを開始した「セキュリテ被災地応援ファンド」、長引く避難生活による慢性期医療の需要の高まりや、心のケアの必要性、被災地高齢者の孤立化の問題を解決するため、被災地に訪問診療専門のクリニックを開設した祐ホームクリニック石巻など、各事例の復興支援の概要と取り組みの概要が写真と図解入りで紹介されている。
同省では、「本事例集に掲載した取り組みをはじめとして、今後、多くのソーシャルビジネス事業者が活躍し、ソーシャルビジネスが日本に定着するきっかけとなる“ソーシャルビジネス元年”となることを期待している」という。
各事例はPDFにまとめられ、経済産業省のサイト内の「ソーシャルビジネス/コミュニティビジネスの振興」で公開されている。
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