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東京マラソン開催迫る!全国35万人以上が参加、大規模市民マラソン人気の理由

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自転車通勤や歩くだけで運動効果を得られるシューズの浸透など、今や日常生活の延長で運動を楽しむ人々が増えている。さらには日本各地で市民向けマラソン大会やサイクルレースが開催されるなど、生活圏外や旅先でスポーツを楽しむシーンも話題だ。“日常”から“非日常”のシーンまで、スポーツが浸透している今。企業によるマーケティング機会も広がりつつある。

『宣伝会議』2012年2月15日号 「業界別特集 拡大するスポーツ関連市場」より抜粋。

スポーツ参加人口は頭打ちでも大会エントリーの高倍率続く

ランニングのブームは継続しているが、参加人口は頭打ち――。「レジャー白書2011」(日本生産性本部発行)によると、2010年のジョキング・マラソンの余暇活動への参加人口は2570万人で、09年の2810万人から8・6ポイント減となっている。

その一方、全国で開かれる市民マラソン大会が人気を集めており、応募者は年々増え続けている。「日本各地で開かれる1万人以上参加のフルマラソンは17大会あり、参加者数は累計で約35万人に達する」と早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦教授は解説する。

小田急百貨店 新宿店ハルクのスポーツファッション売り場「ハルクスポーツ」2階。東京マラソンに向け、ランニング関連アイテムの紹介を強化している。3月11日に初開催となる「京都マラソン」の告知も。

2月26日に開催の「東京マラソン2012」も28万人を超える応募があり、倍率は9.6倍だった。また昨年10月30日には初めて「大阪マラソン」が開催され、定員3万人に対し15万人の応募があったのも記憶に新しい。今年3月11日に同じく初開催となる「京都マラソン」も1万5000人参加に対し、約5万人の応募があった。

ジョギング・マラソンの参加人口は頭打ちでも、市民マラソンはなぜ人気を博しているか――。そのカギは、「耐久性(endurance)」というキーワードにあるようだ。

例えばスポーツ用品の分野別に国内市場規模の推移を見ると、2006年の数字をゼロとした場合、高い成長率を維持しているのはサイクルスポーツ、アウトドア、フィットネス、アスレチックウエア(ランニングを含む)など。いずれも「耐久性」が求められるスポーツが続く(図1、矢野経済研究所調べ)。

「自転車、ランニング、登山などのアウトドアに共通しているのは、“耐久性”を重んじるスポーツであるということ。健康に良いという理由でスポーツに取り組もう、という域を超えたところにモチベーションがあるのが特徴。単なる健康ブームから“スーパーヘルスブーム”へと移行しているのではないか」と原田教授は指摘する。趣味として気楽に楽しんできたスポーツがよりストイックに、高度化しているという見方もできるだろう。

時間の制約を受けない「非チーム」種目が主流

市場が成長しているスポーツの共通点として、矢野経済研究所の上級研究員・家中茂稔氏は「パーソナルスポーツ」である点を指摘する。同研究所で野球やサッカーなどの「チームスポーツ」、ランニングやゴルフといった「非チームスポーツ」に分けて国内メーカー出荷金額ベースの推移を検証したところ、2009年以降は「非チーム」が伸張し、「チーム」は縮小していることが分かった。同様に「ボールを使ったスポーツ」「ボールを使わないスポーツ」で分類した場合も、後者が伸張し前者が縮小している。

「ランニングや自転車などのパーソナルスポーツは、時間や都合の制約を受けない。誰かと集まっても、ひとりでもいつでも自由に楽しめる。気分によってシーンを使い分けることができる種目の成長が著しい」と家中氏。東日本大震災の影響で2011年は市場全体の成長率に陰りが見えるかと思われたが、「秋以降は持ち直し、震災前と同レベルまで戻った」といい、シューズ(図2)、アパレル(図3)など分野別に見てもパーソナルスポーツが市場を牽引する傾向はしばらく続きそうだ。

移動を伴うスポーツ大会は国内の旅行機会にも直結

以上のようなトレンドを踏まえ、見えてくるのは“パーソナルスポーツ人気”の延長戦上にある「日常のスポーツ化」である。

日常生活に自転車を取り入れた結果、「自転車通勤」というシーンが生まれている。また履くだけで運動効果を得られる機能性シューズも、通勤や買い物など日常のシーンで履くことを想定して発売されたものだ。いずれも健康志向だけでなく、「常に身体を鍛えたい」というストイックな心理も見え隠れする。

さらにその先には、「非日常」のスポーツシーンも生まれていく。全国各地で開催される市民マラソン大会のように、スポーツ愛好者らが生活圏外を出て遠方に出向く機会が増えれば、主催する地元の経済効果や新たなビジネスチャンスにもつながる。最近では観光庁でも遅れてきたツーリズムとして「スポーツツーリズム」を提唱するなど、スポーツの観戦・参加を通じた国内外での旅行機会を創出するべく「スポーツツーリズム推進基本方針」を2011年に策定した。

2012年はロンドン五輪も開催され、ますますスポーツに注目が集まる1年となることが予想される。ライフスタイルの一つとしてスポーツが日常の中に浸透していくなかで、スポーツ分野以外の企業、さらに自治体もこの社会的機運を取り込むチャンスがありそうだ。

『宣伝会議』2012年2月15日号
巻頭特集 生活者の日常に入り込む、絆をつくる!ソーシャル時代のキャラクター活用
特集 スマホ視聴で広がる活用シーン<事例>動画を使ったプロモーション
シリーズ 業界マーケティング⑥ ライフスタイルの一つとして定着 拡大するスポーツ関連マーケット

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