「スクープ」と「誤報」の曖昧な境界線とメディアが持つ影響力の本質

なぜ、ネットメディアの「間違いは後から直せばいい」という態度は自分のクビを絞めるのか。

さて、前回のコラムでは、「メディア」という観測者・紹介者がそこに発生することで、「世界」が誕生し、成長していくプロセスについて、書きました。当たり前ですが、やはり、メディアには、「影響力」がありますし、ビジネス的には影響力のないメディアに存在意義はありません。そこで今回は、「メディアが持つ影響力」の構造について、根本から考えてみたいと思います。結論を先に言いますと、メディアには、そこでなされた予言自体を自己実現させてしまう傾向があり、この「予言の自己実現能力」こそが、メディアへの畏怖の念と、メディアの影響力の源泉であった。だからこそ、ネットメディアの「もし、情報の内容に間違いがあっても後から直せばオッケー!」という態度は巡り巡って、自らのクビを絞めることになるかもしれない、ということです。

よくメディアの影響力という文脈では、「読売新聞は今でも1000万部発行している。全国紙は腐っても鯛だ」とか、「テレビは死んだ、というけれど、家政婦のミタは、視聴率40%だ」などと、メディアとしてリーチした先にある視聴者や閲読者の数から、その影響力について語られます。もちろん、リーチ可能な人数は、メディアの影響力を考えるうえで、重要なファクターではありますが、そのことだけを考えるのでは、全くもって不十分です。前回コラムでの月刊『缶蹴り』のように今回も、実際にありえそうなことをケーススタディとして取り上げます。2週間ほど前にエルピーダというオール日の丸の期待を背負ったメモリメーカーが経営破綻し、メディアの注目を集めたことは皆さんご存知と思います。

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田端 信太郎(LINE 執行役員 広告事業グループ長)
田端 信太郎(LINE 執行役員 広告事業グループ長)

1975年10月25日生まれ。
NTTデータに入社し、BS/CSデジタル関連の放送・通信融合の事業開発、JV設立に携わったのち、リクルートへ。フリーマガジン「R25」の源流となるプロジェクトを立ち上げ、R25創刊後は広告営業の責任者を務める。

その後、2005年4月にライブドアに入社し、ライブドアニュースを統括。ライブドア事件後には執行役員 メディア事業部長に就任し経営再生をリード。さらに新規メディアとして、BLOGOSやMarketHack、Techwaveなどを立ち上げる。

2010年春からコンデナスト・デジタル社へ。カントリーマネージャーとして、以前から運営されていたVOGUEのウェブサイトに加え、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトデジタルマガジンなどを新たに立ち上げながら、デジタル事業の成長と収益化を推進。

2012年6月 NHN Japan株式会社 執行役員 広告事業グループ長に就任。


BLOG: http://blog.livedoor.jp/tabbata/
facebook : https://www.facebook.com/tabata.shintaro
twitter: http://twitter.com/tabbata

田端 信太郎(LINE 執行役員 広告事業グループ長)

1975年10月25日生まれ。
NTTデータに入社し、BS/CSデジタル関連の放送・通信融合の事業開発、JV設立に携わったのち、リクルートへ。フリーマガジン「R25」の源流となるプロジェクトを立ち上げ、R25創刊後は広告営業の責任者を務める。

その後、2005年4月にライブドアに入社し、ライブドアニュースを統括。ライブドア事件後には執行役員 メディア事業部長に就任し経営再生をリード。さらに新規メディアとして、BLOGOSやMarketHack、Techwaveなどを立ち上げる。

2010年春からコンデナスト・デジタル社へ。カントリーマネージャーとして、以前から運営されていたVOGUEのウェブサイトに加え、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトデジタルマガジンなどを新たに立ち上げながら、デジタル事業の成長と収益化を推進。

2012年6月 NHN Japan株式会社 執行役員 広告事業グループ長に就任。


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