2011年の世界自動車販売台数が900万台を超え、4年ぶりに首位に返り咲いた米ゼネラル・モーターズ(GM)。販売台数のみならず、環境面でも米環境庁から高い評価を受け、3年連続トップだったトヨタ自動車を、台数と環境ブランド・イメージでも追い抜くことになった。東日本大震災やタイ洪水で減産に追い込まれたトヨタは、独フォルクスワーゲン(VW)にも抜かれ、3位の見通し。トヨタは昨年夏に発売予定だったハイブリッド車のアクアが好調で、予定生産台数の10倍の受注だが、より高価格帯のハイブリッド車のユーザーを呑みこんでいるとの見方もあり、2012年の巻き返しに向けて、販売台数のみならず、収益確保が大きな課題となっている。
GM、4年ぶりに世界販売台数首位。米環境庁のエナジースターも獲得
米環境庁(EPA)は、3月1日、GMを2012年自動車部門のエナジースター・パートナーに指名した。エナジースター・パートナーはエネルギー効率が高く温室効果ガスの削減を表彰するもので、今回のGMの受賞により“燃費の悪いアメ車”のイメージが払しょくされた。
企業のCSR関連情報を発信する3BLメディアが報じたところによると、GMの米エネルギー・マネジメント・チームは、ダッシュボード・システムから送られる、分当たり250万点という膨大なデータに基づいて、生産工程における効率向上を目指してきた。
今回の受賞を受けて、サステナビリティと国際規制を担当する副社長のマイク・ロビンソン氏は「エネルギーの専門エンジニアたちは、全従業員のエネルギー効率アップにコミットしています。この絶え間なき追求によって、環境負荷を軽減すると同時にビジネス面での強化をはかることができています」と述べている。
昨年、GMはほかにもいくつかの分野で大きな進歩を見せている。ダッシュボード・システムによるエネルギー・マネジメントは、300万ドルのコスト削減を実現、1200万ドルのエネルギー・コスト削減プロジェクトへの投資は1年以内に回収される見込みだという。加えて、埋立ガスや再生可能エネルギーの活用により、200万ドルのコスト削減、同時に13万1400トンのCO2排出削減となった。これは1万6400件の住宅が排出する量、あるいは340万の樹木が10年間に吸収する量に匹敵するという。
世界中で定着するエコカー人気
GMの好調を支えるのが、人気ブランドのシボレーだ。コンパクトカーからラグジュアリーまで、ユーザーのニーズに合わせた多彩なラインナップをそろえ、世界中で販売台数を伸ばしている。2011年の販売台数トップ10は、1位:米国(177万5,812台)、2位:ブラジル(63万2,201台)、3位:中国(59万5,068台)、4位:ロシア(17万3,485台)、5位:メキシコ(16万2,461台)、6位:カナダ(15万540台)、7位:アルゼンチン(13万3,491台)、8位:ウズベキスタン(12万1,584台)、9位:インド(11万1,056台)、10位:コロンビア(10万5,783台)となっている。
また、これ以外にも新興国を中心に、前年比販売台数を大きく伸ばしており、南アフリカ(50%増)、ペルー(81%増)、ベトナム(79%増)、タイ(57%増)、およびイスラエル(46%増)などとなっている。
「エコ」は人気車の常識になり、トヨタのプリウスをはじめとする日本車の専売特許ではなくなった。震災後の復興・再生をかけて、日本メーカーが打ち出す次の戦略に期待が寄せられる。
ジュネーブ・モーターショーで、トヨタの超低燃費コンセプトカーに「ブサイク」と酷評
そこで、ジュネーブで開催されたモーターショーに日本車の未来を探ってみた。
しかし、トヨタのコンセプトカー「FT-Bh」に対する海外の評論家やモーター・ジャーナリストの反応は「Our ugly hybrid car future(私たちの醜いハイブリッドカーの未来)」(3月6日、CNET)「fuel miser(燃料けちん坊)」(3月7日、Drive)「easy on gas hard on the eyes(燃費はいいが見るのは辛い)」(3月10日、Sport Car Illustrated)など、厳しいものが多い。車両重量はわずか786kg(現行ヴィッツよりも25%の軽量化)で、47.6km/1ℓの低燃費を実現しているというが、外見に対するあまりの評判の悪さは懸念材料だ。
発表時は悪評高かったプリウスの流線形フォルムだが、10年後にハリウッド・セレブ御用達となり大ヒットカーになった。とはいえ、トヨタには見た目のカッコよさでもリーディング・カンパニーであってほしいと期待する日本人は少なくないはず。アクアの快進撃に続く次なる展開に期待したい。
エネルギー問題や自然環境保護など、環境問題への対策や社会貢献活動は、いまや広告・広報、ステークホルダー・コミュニケーションに欠かせないものとなっています。そこで、宣伝会議では、社会環境や地球環境など、外部との関わり方を考える『環境会議』と組織の啓蒙や、人の生き方など、内部と向き合う『人間会議』を両輪に、企業のCSRコミュニケーションに欠かせない情報をお届けします。 発行:年4回(3月、6月、9月、12月の5日発売)
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