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コラム

CSR視点で広報を考える

今年の後半は「台風」当たり年で、自然災害リスクの増大懸念

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大型台風の襲来を予想させる今年の気圧配置に注意

6月に8年ぶりに台風4号が上陸し、多くの地域に大きな被害をもたらした。今年の台風被害はどのようになるのだろうか? 過去の台風の統計データから分析すると、「6月に台風が上陸する年は台風の上陸回数が多くなる」という。

一般的に日本に台風が上陸する数は2~3個(平均2.6個:1970年~2000年までの統計)である。しかし、6月に台風が初上陸した年の台風の上陸回数は、1978年4回、1981年3回、1989年5回、1997年4回、2004年10回となっている。年間の平均日本接近数10.8個、年間平均発生件数26.7個(上記統計期間と同一)から見てもかなりの確率で上陸していることがわかる。

また、それらの年の梅雨明けは、関東甲信で例年は7月21日のところ、78年は7月4日、81年は7月8日、89年と97年は7月19日、04年は7月13日と早まる傾向となっている。

こうした傾向の原因となっているのが気圧配置で、太平洋高気圧が南海上に張り出す形で配置されている。また、共通して言える現象面での特徴は豪雨と風の強さである。今年はその気圧配置となっていることが指摘されている。

台風の特徴と人への影響を知る

台風は、熱帯や亜熱帯の海上で発生した低気圧(熱帯低気圧)のうち、中心付近の最大風速が17.2m/s以上になったものをいう。台風の大きさについては以下のような定義がなされている。

大きさの階級分け

強さの階級分け

風による被害想定

雨による被害想定

今年6月に上陸した台風4号は、1時間に50mm、最大風速50m/s、最大瞬間風速55m/sを記録しており、雨・風ともに非常に大きく強いものとなっている。

例えば、1時間に50mm以上の雨が降ると、滝のようになり、傘は全く役に立たず、あたり一面は水しぶきで白っぽくなり、車の運転が危険な状態になる。また、都市部では地下街などに雨水が流れ込み、マンホールから水が吹き出すなどの現象が出る。地方では土砂崩れや地盤の弛みなどが出て、災害の危険が増す。数時間で350mm(約1カ月分の雨量に相当)を超す雨量となれば、川の増水や氾濫から広範囲な床下・床上浸水などの大災害となる。

現実的な人への影響を考えた場合、風速20m/sで子供は飛ばされそうになり、25m/sでは大人ですら危険な状態となる。30m/sでは車は通常の速度で運転するのが難しくなる。

また、電車の運行について言えば、線路脇の風速計が20m/sを超えると速度を落としたり運転見合せが始まる。25m/sで多くのJRは運転中止となり、30m/sでは私鉄もほぼ全面運転見合せあるいは運転打ち切りとなる路線が続出する。

日本ではこれまでの記録として、最大風速69.8m/s(昭和40年台風23号)、最大瞬間風速85.3m/s(昭和41年台風18号)が最大とされている。筆者は1991年に台風19号を経験したが、最大風速は50m/s、最大瞬間風速は60.9m/sだった。

電信柱は風で飛ばされ、50m先の神社の屋根につきささっていたり、10トントラックが何台も運転席を上にして縦に縦列していたり、といった信じがたい光景をよく見た。重機械でも折れないシャッターは真ん中が何かとてつもない力によって押されたように深くへこみ、ファーストフード店は頑丈なRC構造(鉄筋コンクリート構造)にもかかわらず、全てのガラスが吹き飛び、中の什器備品が全て吹きこんだ風によって外へ投げ出されるといった現象が見受けられた。畑の果物は全て落ち、海に近い場所では塩害によって農作物が大きな被害を受けた。水の氾濫や洪水による被害は、東日本大震災の津波の被害を見て頂ければ言うまでもない。

我々が一番わかりやすい被害想定の目安は、これらの風速や雨量などのほか、その台風の軌道である。台風は一般的にその中心よりも進行方向に対して右側(南東側)の方(危険半円という)が風雨が強くなるため、より警戒が必要となる。さらに、台風の目が通過した際、一時的に風雨は弱まるが、その後吹き返しの強い風雨が再度その地域を襲うため、非常に危険な場合も確認されている。

今年の台風では、被災エリアでの行動は、できるだけ外出を避け、風速、雨量、台風の軌道に注視し、安全な対策を講じて欲しい。

白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー

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