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コラム

CSR視点で広報を考える

様変わりした反社会的勢力の実態と対応

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「暴力団と関係のないことを認証致します!」

反社会的勢力が自ら企業に対して関係がないことを認める証明書を発行するサービスまで登場した。当然有料で、彼らの資金源となるため、取引すること自体に問題が生じる。

最近では反社会的勢力の仕事の実態も様変わりし、あの手この手の新サービスの提供などで、油断すると反社会的勢力と何らかの関わりが発生してしまう事例も出ている。

反社会的勢力の基本的定義は、(1)資金獲得、(2)犯罪保有者、(3)ピラミッド組織であり、「金」「暴力」による統制を計ろうとする点に特徴がある。「誰に断ってやっているんだ」と脅し、暴力団が怖いから資金提供するパターンと、「そのような組織から守って上げる」と諭されて資金提供するパターンが存在する。

いずれも「怖さ」を維持するために資金がいるから「金」「暴力」の深い関係は常に存在することになる。

これまで反社会的勢力は主に以下の6つの仕事を生業としてきた。

  1. ゆすり
  2. たかり
  3. みかじめ
  4. ノミ行為
  5. 麻薬・覚せい剤
  6. 興行

しかし、最近の反社会的勢力は正業を隠れ蓑にするかそれに近い業態を利用して企業に近づいている。以下はその内の比較的多い業種である。

  1. ヤミ金融による貸金業
  2. 産廃業による不法投棄
  3. インサイダーによる不正な証券取引
  4. 不動産業による不適切な地上げ
  5. 建設業による丸投げ

こうした反社会的勢力との契約関係がないよう検証することは、コンプライアンス体制の強化と現場での意識改革しかない。甘い言葉にまどわされず、個人が脅されたら、早期に会社に相談できるしくみが不可欠である。「気がついたら泥沼化しており、断れば人が死ぬ」可能性があるところまで浸食されたら、警察組織、弁護士をもってしても関係を切るのは容易ではないことを認識すべきである。

巧妙化する振り込め詐欺

振り込め詐欺には「オレオレ詐欺」のほか、「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金等詐欺」があり、この中には競馬で確実に当たる馬を教えるから金を払えという「情報料詐欺」は含まれていない。

全体の振り込め詐欺の認知件数は、平成22年度に比べ23年度は減少したものの、「オレオレ詐欺」は210件増加して4,628件だった。被害額も前年比27億373万円増の106億2,200万円となり悪化している。

被害者は、約90%が60歳以上、約82%が女性という結果だった。さらに地域別に見ると、東京、神奈川、千葉、埼玉の順に被害が集中し、関東エリアが攻撃の対象となっていることが確実視されている。

平成23年度の他の振り込め詐欺の状況は、「架空請求詐欺」(約700件、約12億円)、「融資保証金詐欺」(約500件、約7億円)、「還付金等詐欺」(約300件、約3億円)で、「オレオレ詐欺」の分も合わせると年間被害総額約128億円となっている。

「オレオレ詐欺」では関東エリアが被害の中心となっているが、「融資保証金詐欺」では儲け話に弱い関西エリアが、「儲かりまっせ」の言葉に誘導されて被害が集中している。

還付金等詐欺では、老人をATMまで行かせ、そこから電話で還付金の返金手続きを教えると伝えて巧みにATMから預金残高を確認させ、税金を還付するための暗証番号と称して残高金額を下回る送金可能額を入力させて送金させる手口が横行した。

反社会的勢力の中でも知能犯と言われる犯罪者は、被害者の心理を読み取り、ターゲットとなる人物の絞り込みをプロファイリングしながら選別し、より効果的に詐欺に成功している。

ATMの作業途中で、銀行員に不審に思われ問い合わせを受けた際には、「リフォーム代金の振込」と言うよう予め指示をしていたり、一度引き出させた上で、現金を手渡しでもらいに行くなど、巧妙化している事例も散見する。

いきなりハガキで訴訟の予告をされ、あわてて示談するため送金するなど、何故と思ってしまう事案もあるが、そもそも難しい言葉の羅列で何の訴訟かも不明であるような内容にびっくりさせ、時間的制限を巧みに利用して深い考えに至らせずに、送金させる常套手段である。

1回の被害額は平均約200万円にも上り、この金額を見ただけでも尋常ではないことがわかる。一般国民は、めったに被害に会わないが、被害額は確実に増えている。検挙率はここ数年70%台に留まっている。しかし、犯人が逮捕されてもほとんど金は返らない。

彼らが巧みな技術とプロファイリングによる攻撃対象の絞り込みをしている以上、我々自身がその攻撃をかわす知識を持つしかない。

白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー

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