旅行業界のマーケティングトレンド。顧客を巻き込んだ広告活動。 ~エールフランス、ソフィテル、日本郵船の事例から学ぶ~

いよいよ夏がやってきた。夏休みの旅行を心待ちにしている人も多いと思うが、特に旅行業界の方々は書き入れ時ということもあり大忙しだ。ネットの登場により、消費者が恩恵を受けてきた業界でもある旅行業界。過当競争による収益性の低さで頭が痛いと言われているが、ずっと手をこまねいているわけではなく、世界中の企業で、さまざまな取り組みが始まっている。

今回は、旅行業界を代表して、仏航空会社のエールフランス、日本郵船の豪華客船クリスタルクルーズ、そして仏アコーホテルズのブランドであるソフィテルのマーケティングについて書いてみたいと思う。偶然の一致なのだが、各社ともに「旅行記」をコンセプトにしたキャンペーンを始めている。日本の旅行業界の競争が、より良いものになっていくことを期待しながら、以下の紹介をしたいと思う。

アコーホテルズ「ソフィテル」の取り組み

sofitel

上記の写真は、実際にソフィテルに宿泊した客が作成した旅行記であり、それを利用したソフィテルの雑誌広告である。ソフィテルは6月から米国、ヨーロッパの旅行雑誌「Departures」や「Ultra Travel」等に載せる広告に、実際に客が作った旅行記を使用し、大変話題となった。広告写真を入手してご紹介したかったのだが、雑誌を入手できなかったためニューヨークタイムズより引用させていただいた。広告には、プロのカメラマン顔負けの写真に、リアリティあるコピーが添えられている。顧客の手によって、ホテルでの素晴らしい風景や体験がつづられている。通常の広告クリエイティブよりも、はるかに信頼できる印象を消費者に与え、新しい顧客を呼び込んでいる。

エールフランスの取り組み~「Travel Bookers」

airfrance1
airfrance2

続いて、エールフランスの取り組みを紹介したい。エールフランスは、5月に旅行記を作成するiPhoneアプリを開発した。このアプリは、自分の撮った写真に文章を入れた旅行記を無料で作ることができる。でき上がった旅行記は、フェイスブックで友人とシェアするだけではなく、エールフランスのフェイスブックページにあるネットワーク「Travel Bookers」にアップロードし、ほかの旅行者たちとシェアすることもできる。

ネットワーク上にある「Travel Bookers」では、国や地域、さらにはテーマでアルバムを検索することができるので、例えば、エジプトを旅行した人はエジプトを検索すれば、ほかの旅行者のアルバムを見て楽しむことができる。特に目的を決めずに行き先を探したいときには、旅行雑誌をめくるように、気の赴くままに閲覧しても楽しいし、テーマを入れ検索し、写真やコメントを見て行き先を決めるなんていう使い方もできる。

エールフランスは、7月にもフェイスブックでコンテストを実施し、最優秀アルバムの作者に旅行をプレゼントすることを計画中だ。

日本郵船「クリスタルクルーズ」の取り組み

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CRYSTAL SERENITY VENICE TO ISTANBUL

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CRYSTAL SERENITY ISTANBUL TO MONTE CARLO

最後に紹介するのは、日本郵船が世界のクルーズマーケットに向けて設立した国際ブランドであるクリスタルクルーズ。エールフランス同様、旅行記を作成できるiPhone無料アプリを開発した。

フェイスブック上でシェアするのはエールフランスと同じだが、このアプリのユニークな所は、写真を絵葉書にして船の上から簡単に郵便手配ができることだ。料金はクレジットカード払いができるため、旅行中、郵便局に行ったり、切手を買ったりせずに気軽に現地から絵葉書を送ることができる。7月末には、画像認識技術を利用してAR(拡張現実)を提供する「Aurasma」を使用するiPhoneユーザー向けに、同社のアプリと連動し、仮想空間上で動画が見られるようにするという。

クリスタルクルーズのフェイスブックページはこちら

まとめ

消費者が撮影したメッセージ付の写真は、どれをとっても好奇心をそそられ、冒険心を掻き立てられる。素人が撮影し、素人がコメントした情報には、プロのカメラマンが取った写真にはない親近感があるし、メッセージ内容も実際の乗客やホテルに泊まった体験者が書いているためリアルに感じる。これらのツールを使うと、簡単に旅行記を作ることができる上、それを友人や家族に見せることで何度も旅を楽しむことができる。無料でこうしたサービスが受けられるのは、実にありがたい。

企画がユニークで、使い勝手がよければ(参加しやすければ)、企画をきっかけに、顧客がファンになってくれるかもしれない。新時代のマーケティングには、常にリスクがつきまとうし、費用対効果も不透明だが、成功すれば、通常の広告宣伝とは異なる効果が見込める。変化が大きい時代に、指をくわえて見ているだけではもったいない。今こそ、顧客の囲い込みができるチャンスかもしれないのだから。

「消費者の待ち時間を狙ってマーケットシェアアップ!世界で広がる「バーチャルストア」キャンペーン」はこちら

青葉哲郎 「マーケティングからイノベーションを起こすために」バックナンバー

青葉 哲郎(サイコス代表取締役社長 マーケティングコンサルタント)
青葉 哲郎(サイコス代表取締役社長 マーケティングコンサルタント)

1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少プロダクトマネージャに就任。米国ソフトウェアのローカライズを担当。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化で成功を収める。同年10月リクルート出向。2009年11月サイコス株式会社を設立。2010年より、宣伝会議「インターネットマーケティング基礎講座」の講師も務める。

サイコス株式会社HP http://www.saiqos.co.jp
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1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少プロダクトマネージャに就任。米国ソフトウェアのローカライズを担当。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化で成功を収める。同年10月リクルート出向。2009年11月サイコス株式会社を設立。2010年より、宣伝会議「インターネットマーケティング基礎講座」の講師も務める。

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