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災害廃棄物の広域処理88.3%が「進めるべきだと思う」と回答

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内閣府は8月6日、「環境問題に関する世論調査」の結果を発表した。現在、各地で問題となっている東日本大震災の災害廃棄物の広域処理について9割近くの88.3%「進めるべきだと思う」と答えていることがわかった。災害廃棄物の受入れについては、受入れを表明した自治体に対して反対の意見や投書、抗議行動などが大きく報道されていた。しかし、調査の結果は放射能汚染のない宮城県・岩手県の災害廃棄物の受け入れに関しては多くの人が「進めるべき」と考えていることがわかった。

本調査の目的は、環境問題に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とすること。内容は「循環型社会に関する意識」と「自然共生社会に関する意識」についての2点。全国20歳以上の日本国籍を有する者(母集団)3000人を対象に、調査員による個別面接聴取で、今年6月7日~6月17日にかけて行われた。
 
回収結果は、有効回収数(率)が1912人(63.7%)、調査不能数(率)が1088人(36.3%)となっている。調査不能の理由は一時不在(398)、拒否(388)、転居(117)となっている。

環境省は8月7日、「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表」を発表した。工程表によれば、平成 25 年度末までに処理を終える予定となっている。

表2

宮城県が北九州市と基本協定を締結するなど、放射能による汚染が基準以下のものについては各地で受入れが進んでいる。報道された住民の抗議行動の多くは、情報不足やコミュニケーション不足が原因と見られる。

新たな廃棄物処理施設の設置許可や域外からの廃棄物受入れには住民同意を要件とする自治体が増えている。そのため、廃棄物処理業者は一戸一戸住民を訪問して処理方法を説明するなど情報開示の努力をしている。災害廃棄物の広域処理に関する一連の混乱は、自治体から住民への情報開示が不十分であったことが原因である。今後循環型社会を推進するうえでも、伝わるコミュニケーションが求められているといえよう。
  

循環型社会に関する意識

循環型社会に関する11項目の質問に対する回答結果は次の通り。

(1)「3R」の言葉の意味を知っているか 
「3Rの意味を知っている」33.3%
「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある」24.8%
「聞いたこともない」40.5%

平成21年6月に行われた前回の調査結果と比べて「知っている」が3.6%増(29.7%→33.3%)、「聞いたこともない」が4.5%減(45.0%→40.5%)となっている。「知っている」割合が最も高いのは40代で47.6%で、「聞いたこともない」と答えた者の割合は60歳代、70歳以上で57.2%と高くなっている。

(2)ごみの問題は重要だと思うか
「重要だと思う」81.6%
「どちらかといえば重要だと思う」16.7%
「重要だと思わない」1.2%

(3) ごみを少なくする配慮やリサイクルを行っているか
「いつも実施している」34.9%
「ある程度実施している」51.9%
「実施していない」13.0%
 性別に見ると「実施している」とする者の割合は女性で、「実施していない」とする者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると「実施している」とする者の割合は60歳代、70歳以上で「実施していない」とする者の割合は20歳代、30歳代で、それぞれ高くなっている。

(4)ごみを少なくするために大切だと思う行動上位5項目(複数回答)
「食べ残しをしない、買いすぎや作りすぎをしないなど、食品を捨てないようにする」69.0%「詰め替え製品を使う」66.2%
「レジ袋をもらわない(買い物袋を持参する)、簡易包装を店に求める」66.0%
「壊れたものは修理して長く使う」48.4%
「壊れにくく,長持ちする製品を選ぶ」47.1%

(5) ごみを少なくするために行っていること上位6項目(複数回答)
「詰め替え製品を使う」59.2%
「レジ袋をもらわない(買い物袋を持参する)、簡易包装を店に求める」59.1%
「食べ残しをしない、買いすぎや作りすぎをしないなど、食品を捨てないようにする」55.8%
「壊れにくく、長持ちする製品を選ぶ」37.1%
「壊れたものは修理して長く使う」36.2%
「すぐに流行遅れになったり飽きたりしそうなものは買わない」34.0%

(6) 再使用や再生利用のために大切だと思う行動上位4項目(複数回答)
「家庭で出たごみは種類ごとに分別して、定められた場所に出す」85.8%
「リサイクルしやすいように、資源として回収されるびんなどは洗う」71.7%
「トレイや牛乳パックなどの店頭回収に協力する」58.8%
「古着を雑巾とするなど,不要になったものを他の目的で使用する」53.6%

(7) 再使用や再生利用のために行っていること上位4項目(複数回答)
「家庭で出たごみは種類ごとに分別して,定められた場所に出す」83.3%
「リサイクルしやすいように,資源として回収されるびんなどは洗う」62.7%
「トレイや牛乳パックなどの店頭回収に協力する」48.7%
「古着を雑巾とするなど,不要になったものを他の目的で使用する」44.1%

(8) 循環型社会の形成についての意識
「現在の生活水準(物質的な豊かさや便利さ)を落とさず、大量生産、大量消費は維持しながら廃棄物の再使用(リユース)や再生利用(リサイクル)を積極的に進めるなど、できる部分から循環型社会に移行するべきである」49.5%
「現在の生活水準(物質的な豊かさや便利さ)が多少落ちることになっても、循環型社会への移行はやむを得ない」31.2%
「現在の生活水準(物質的な豊かさや便利さ)が落ちることになっても循環型社会に移行するべきである」9.8%
「現在の生活水準(物質的な豊かさや便利さ)を落とすことであり、循環型社会への移行は受け入れられない」3.1%

(9)ごみの減量やリユース・リサイクルを進めるために必要なこと上位3項目(複数回答)
「レジ袋をもらわないことや簡易包装にしたことに対する値引きやポイントの付与」60.0%
「リサイクルなどのための技術開発」56.0%
「学校などにおける3R教育の推進」43.9%

(10) ごみの問題について知っていること上位4項目(複数回答)
「野山や河原等への不法投棄が大きな社会問題となっている」87.9%
「海岸に漂着したごみなどにより、海岸の景観が損なわれたり、生態系などに影響を及ぼしている」79.3%
「携帯電話など小型電子機器の中には,金やレアメタルなどの有用金属が含まれている」70.0%
「使用済みのペットボトルを原料として再びペットボトルを製造した商品や使用済みプラスチックを再生して外装材に使った家電製品が流通し始めている」69.2%

(11) 東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理:被災地のみで処理を迅速に進めることが困難な災害廃棄物について、国は放射性物質が不検出または低く、安全性が確認された岩手県及び宮城県の災害廃棄物の一部について被災県以外で処理を行う広域処理を推進しているが、進めるべきだと思うか
「進めるべきだと思う」63.5%
「どちらかといえば進めるべきだと思う」24.8%
「進めるべきだと思わない」8.8%

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