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コラム

販促・集客メディアフォーラム2012

【販促・集客メディアフォーラム(No.6)アサヒビール】「女性の深層心理を具現化し新市場を切り開いたノンアルコールカクテル誕生の秘話」

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「宣伝会議集客・販促メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。

アサヒビール マーケティング本部 マーケティング第二部 担当課長 中田美緒子氏

急成長するノンアルコール飲料市場

中田美緒子氏

アサヒビール 中田美緒子氏

アサヒビールでは、日本酒以外のさまざまな酒類を取扱っています。中でもノンアルコール市場は、2007年に飲酒運転が社会問題化し、2009年にアルコール0.00%のビールテイスト飲料が発売したのを皮切りに、ここ数年で一気に拡大・成長しています。カクテルテイスト飲料も2010年から2011年に市場は6倍も拡大した(当社調べ)と出ており、2012年もさらなる市場拡大が見込まれている状況です。

2010年9月より販売しているカクテルテイスト飲料の「アサヒ ダブルゼロカクテル」は、当社の研究者がお酒の苦手な奥さんのために試作品を作ったことが開発のキッカケになりました。お酒が飲めない人はそもそもビールの味自体が苦手な人も多いことからカクテルテイストを選択。イタリア料理などにも合うおしゃれな飲料を目指した試作品を作り、社内会議に提出しました。当初「ノンアルコールのカクテルは、ただの清涼飲料ではないのか?」と、会議に出席していたマーケティング担当者も感じていましたが、実際に飲んでみると研究者がこれまで培ってきたチューハイ・カクテルの開発の知見が活かされていて、本当に「お酒らしい味」が再現されていたのです。

そして当時、活性化しつつあったノンアルコール飲料の市場における新しいカテゴリーとして「ノンアルコールカクテル」の商品化を決定、すでに試作品が存在していたこともあって、通常よりも短期間での発売が実現しました。

ノンアルコール飲料は“我慢のため”から“楽しむため”のものに

商品化にあたり、改めてノンアルコールのニーズや可能性を検証。そして、お酒飲用者は、ビールテイストに次ぐ選択肢を求めていること、ランチ時や周囲がお酒を飲まない場合などでもオシャレに気兼ねなく飲め、なおかつお酒の気分も味わえる飲料の需要が高いことが分かりました。一方、お酒が飲めない人は、大勢でお酒を飲む機会などでのビールテイストに変わるコミュニケーションツールとしての需要がありました。さらに、ひとりの時に自分へのご褒美として飲むときには、普段とは違った飲料で従来の炭酸飲料よりも甘さ控えめ、つまり、清涼飲料とは違う大人っぽさやおしゃれ感が求められていると分かりました。

また、カクテルはカロリーが高いという認識の人が多かったのですが、アルコールゼロだからこそ実現できる「カロリーゼロ」をコンセプトに加えることにしました。カロリーに対する意識の高さも含め、新しいカテゴリーの商品に対しては情報感度の高い都心の女性の受容性が高いと考え、20~30代の女性をメインターゲットにしました。

彼女たちに受け入れられるように、パッケージも手書き風イラストでおいしさや大人っぽさを表現にし、アルコール0.00%やカロリーゼロであることもひと目で認識できるようにしました。また、ネーミングもアルコール“ゼロ”とカロリー“ゼロ”を両立した商品であることをすぐに分かるよう「ダブルゼロカクテル」とストレートなものにしました。

実際に商品飲んだお客様の反響として、「体調や次の日の予定に左右されずに飲めるノンアルコールカクテルは女性の味方」「飲む人と飲まない人をつなぐコミュニケーションツール」「いつでもどこでも手軽に飲めるので便利」といった声が挙がり、飲めなくてもカクテルの気分だけは楽しみたいという「ワガママな女心つかんでいる」ことが、ノンアルコール飲料市場の急成長の要因のひとつになっていると思います。

カクテルテイスト飲料の登場によって、ノンアルコール飲料は、お酒が飲めない時の代わりに飲むという「我慢の消費」から、酔わずに雰囲気や気分だけ味わうという「楽しむ消費」に変わってきています。また、9月19日には「ダブルゼロカクテル」は新たに「アサヒ ゼロカク」として新発売します。今後も、より複雑な女性のマインドに寄り添えるようにしていきたいと考えています。

 →次回はNo.7 DM協会です。

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