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ポスト地デジ時代のテレビを議論——VRフォーラム開催

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VR-folum

ビデオリサーチは5日と6日、メディア各社や広告会社、広告主向けに同社の技術やサービスを紹介するイベント「VR Forum2012」を都内で開催した。テレビ視聴などメディア接触行動の新たな測定技術・アプローチのほか、生活者調査など今後の注力分野に至るまで展示と講演で紹介。2日間で4000人強が来場した。今年はビデオリサーチの創業50周年に当たる。従来の求められたデータを提供するスタンスから一歩踏み出し、「提供から提言まで」をスローガンに各プログラムが企画された。

ソーシャルメディアの力で番組視聴を後押し

初日午後のパネルディスカッションでは、放送局や広告会社、インターネット、経営コンサルタントらが一堂に会し、「ポスト地デジ化のメディア戦略」をテーマに2時間半にわたって議論を繰り広げた。

テレビとソーシャルメディアとの連携について、日本テレビ放送網の小杉善信・取締役常務執行役員が同社の事例を披露。映画「ヱヴァンゲリヲン」や「サマーウォーズ」、サッカー「クラブワールドカップ」の中継でソーシャルメディアでの投稿を促したところ、リアルタイムの視聴を促す効果が毎分の視聴率に反映されたという。朝の番組「ZIP!」内の料理コーナー「MOCO’Sキッチン」では、俳優の速水もこみちさんの動作に対するツイッター上の「突っ込み」がネットユーザーの間で盛り上がり、「180秒のCMを挟んでも毎分(視聴率)が落ちない」(小杉氏)と紹介した。

A.T.カーニーの梅澤高明・日本代表は、放送局によるソーシャル施策について「CtoCの番組宣伝につながること、インタラクションで視聴の質が上がること、視聴者の番組や放送局へのロイヤリティーが上がることの3つの効果が期待できる」と分析した。

タイムシフト視聴も積極的に評価すべき

録画による番組の「タイムシフト視聴」をめぐっては、報道やスポーツ番組はほとんどがリアルタイムで視聴されているのに対し、ドラマやバラエティー番組は録画視聴の割合が高いというデータが紹介された。この結果を受け、A.T.カーニーの梅澤氏は、「タイムシフト視聴も(メディアの評価指標として)積極的に評価すべき」と強調した。

フジテレビジョンの大多亮・常務取締役はそれに対し「異論なし」としながらも、「つくり手としては、やはり録画されたら負けという意識がある。月曜9時に帰ってきて(ドラマを)見てほしい」と本音を明かした。

電通の山本敏博・執行役員は、「この瞬間にたくさんの人が見ているという『共有体験』を得られることはテレビの強さと無関係ではないと思う。番組制作者はライブで見てもらいたいという気持ちを失わないでほしい」と述べた。

優秀な番組制作者の確保が必須

続いて「ターゲット」に話が及ぶと、フジテレビ・大多氏は「やはりティーンやM1、F1をコアに狙っていこうとしている。コアの熱量が強ければ、必ず広がり、ブランディングにもつながると信じている」と強調。A.T.カーニーの梅澤氏は「ぜひそうあり続けてほしい。ターゲットをもっと細かく見て、価値のある番組は高く売れるような仕組みにしていくべき」と持論を述べた。

ヤフーの川邊健太郎副社長は、「インターネットに携わっているからこそ、マスは絶対に重要だと実感している」とテレビにエールを送った。フジテレビ・大多氏は、「コンテンツの重要性を一貫して強調してきた。テレビの衰退があるとすれば、ネットの台頭によるものではなくつくり手の力量の衰退だろう。必要なのは優秀なクリエイターの確保と育成だ」と指摘した。