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インテリジェントなモノ、スーパーストレス時代…JWT「2013年10大トレンド」を発表

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グローバルエージェンシーのJWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン)は、2006年より毎年行なっているグローバル・トレンド予測レポート「2013年10大トレンド」を発表した。JWTニューヨークのトレンド調査チームが中心となり、世界各地のJWTプランナーと共に、小売、メディア、テクノロジー、ゲーム、都市計画、心理学、学術界など、さまざまな分野の専門家やオピニオンリーダーへのヒアリングを実施し、さらに同社が通年で実施している様々なテーマの定量調査、定性調査の集積を分析することでグローバル・トレンドを予測したという。同社が発表した2013年10大トレンドのトピックスおよび詳細は、以下の通り。

  1. 「競争優位としての遊び」
  2. 「スーパーストレス時代」
  3. 「インテリジェントなモノ」
  4. 「予測に基づくパーソナライゼーション」
  5. 「モバイルが残す足跡」
  6. 「感覚的刺激の急増」
  7. 「何でもお店になる」
  8. 「ピア(対等な仲間)・パワー」
  9. 「デジタルの世界でプライバシーを守る」
  10. 「健康と幸せ:手を取り合って」
JWT

1.「競争優位としての遊び」

過剰なまでに体系化されハイテク化した生活とのバランスをとるために、子どもたちはもっと純粋に「遊び」を楽しむべきだ、という考え方に大人たちが今再び注目し実践しようとしている。「具体的な目標のない物事なんかに貴重な時間を割くことなどできない」とすら感じてしまうような全てが目的化された現代においては、体系化されていない時間こそが、競争優位のためのより多くの想像力、創造性やイノベーションを生み出す、という認識がますます高まっていく。

具体例:「ブレイク(休憩)」を提唱するキットカットは、2012年に様々なタイプの職場でのばか騒ぎを描いた。JWTロンドンが制作した「クレーン」は、クレーン操縦士たちが建築現場で建物を解体するための鉄球を操縦し、巨大な「ニュートンのゆりかご」(役員の机の上によく置いてある別名カチカチ玉)を作ることを描いたテレビCMで話題となった。

2.「スーパーストレス時代」

大小の差はあれ、人生は常にストレスに満ちており、そのストレスはさらに強度を増し拡がる一方。私たちはスーパーストレスの時代に突入した。医療問題や社会的負担の問題として、ストレスがより広く深刻に認識されるようになるにつれ、政府、雇用主、ブランドはそれらの拡がりを防ぎ縮小するための取り組みを強化していくだろう。

具体例:北京や上海など中国の大都市で働く中国人のホワイトカラー労働者は、成功のための強烈なプレッシャーのために、長い労働時間を強いられ、デスクワークのようなタイプの仕事では精神的な窒息をもたらしている。アウトドアブランドのザ·ノース·フェイスは、この問題に向き合い、たとえ週末だけでも現実逃避し、野生に戻り、貴重な体験を通して解放され、再発見し、世界と再び繋がることを提唱するキャンペーンを開始した。

3.「インテリジェントなモノ」

日常のモノが拡張機能を備え、ハイテクを取り入れたスマートデバイスへと進化している。さらに、今まで普通に使ってきたアイテムの多くが、インタラクティブでインテリジェントなモノに変化していくにつれ、モノとのやりとりはさらに面白く、楽しく、そして便利になるだろう。

具体例:2013年に市場に導入される予定のGoogle Glassesはマイクロプロセッサ内蔵で、マイク、カメラ、スピーカー、スクリーン付きの眼鏡。ユーザーは写真、ビデオを撮ることができ、電話をかけ、Google Mapsを使用することが可能になる。

4.「予測に基づくパーソナライゼーション」

データ分析のコストが以前に比べ低下し、科学がこれまで以上に洗練され、そして、消費者がより測定可能なデータを生み出すようになるにつれて、ブランドはますます顧客の行動やニーズ、そして欲しいものを予測できるようになっている。その結果、これまで以上に個人個人に合わせた商品やサービスを提案できるようになり、また顧客とのコミュニケーションがより正確なものになるだろう。

具体例:米国の小売業者ターゲットのアナリストたちは、ビッグデータから探り当てた情報を用いて「妊娠予測スコア」を計算し顧客の妊娠予測を行っている。アナリストたちは25種類の購入商品状況を分析することで妊娠予測に関わる共通性を見出すことに成功した。出産予定日の予測さえもかなりの精度でできるため、ターゲットではそれらの情報に基づいて顧客の妊娠段階に応じたクーポンの送付を行っている。

5.「モバイルが残す足跡」

ソーシャルネットワーキング、画像撮影、ゲーム、ナビゲート、音楽鑑賞、ショッピングなど、スマートフォンは通信するためのすべてのハブ手段へと進化し、世界中で急増する消費者が誰であるかを表し、要約するためのモノとなっている。そしてモバイルデバイスが、財布、鍵およびヘルス·モニターなどの役割を持つようになると、さらにパーソナルなものになっていく。これは、セキュリティ意識の高まり、超パーソナライゼーションとノモフォビア(携帯電話依存症)など、マーケティング担当者や消費者へと多くの影響をもたらしていくことになるだろう。

具体例:携帯電話と身元との結びつきがとても強くなってきているため、電話番号が住所、氏名、その他の識別情報を代用するケースが出ている。インドでは、一部の人々がドアに名前ではなく電話番号を表示している。

6.「感覚的刺激の急増」

活動の多くが仮想で行われ、オンラインで繋がっているデジタルの世界において、人々はより感覚的な刺激を重視するだろう。マーケティング担当者が、人々の感覚とエンゲージするための多くの方法を探し、刺激のためのテンションを上げるに従って、消費者はこれまで以上に納得できる製品や体験を期待するようになるだろう。

具体例:2012年ダンキンドーナツは、韓国・ソウルのバスでブランドのジングルがラジオで流れるたびにコーヒーの香りを放つ技術を導入した。

7.「何でもお店になる」

ショッピングの価値は、実際にお店へ出向いたり、オンラインで行う活動から、今までにない方法へと変わってきている。主にモバイル技術によって、ほとんど全てが小売チャネルになりうるので、ブランドは商品の販売場所と方法に関してますます創造的になる必要がある。

具体例:ニューヨークのファッションウィーク期間中に、グラマー誌は消費者がスマートフォンで2Dバーコードをスキャンすることによって製品を購入し、後に自宅へ配送することを可能とした買い物が出来る壁を設置した。このタイプのショッピングチャネルを最初に導入したのは、テスコ韓国の一部門であるホームプラスで、昨年ソウルの地下鉄の駅で通勤客をターゲットとした買い物が出来る壁を導入した。米小売りTargetは、女優をフィーチャーした12分の動画を作成、ファッション、コスメ、家具などを、ビデオを止めることなく購入できる仕組みを展開した。

8.「ピア(対等な仲間)パワー」

対等な人々同士がつながることで生まれるピアtoピア・マーケットプレイスは、商品の枠を超え、広い範囲のサービスに至るまで、その規模や範囲を広げている。ピア・パワーは、おもてなしから教育、観光、そして交通に至るまで、ますます主要産業を変容させていくだろう。

具体例:新しいツールによって、旅行者はニッチな経験とそれを提供することが出来る地元の人々を探すことができる。ピアtoピアの起業集団は、ユニークで多くの場合パーソナライズされたアクティビティやツアーを提供して、旅行者の旅行計画の方法を変えていこうとしている。サイトでは、フィジーの王様との釣りを楽しんだり(vayable.com経由)、CIAの変装のプロから変装を学ぶ短期集中コースに参加したり(SideTour.com経由)することまで、多岐に渡る機会の組み合わせを提供しています。カスタマイズされたツアーを探している旅行者とガイドとを結び付けるためのプラットフォームである日本のShiroube.comも、その一例だ。

9.「デジタルな世界でプライバシーを守る」

SNSなどにより自分のプライバシーがいとも簡単に公になってしまう今の時代、人々はいかにして自分たちのプライベートな生活を守るかを工夫しはじめている。プライバシーを守るために、ソーシャルメディアなど今や私たちが生活する社会構造の一部となっているツールをあからさまに拒否するのではなく、活気あふれるデジタルな世界に身を置きながらそのメリットを享受し、21世紀における新たなプライバシーの概念を定義し、そして管理していこうとしている。

具体例:米国の大学生/高校生たちはパーティをするときに「ダークルーム」—飲酒などをするための別の部屋—を設ける。ダークルームは、携帯電話やカメラを持ち込み禁止にすることで、パーティ中に自分に不利な画像が撮られないようになっている。これにより、学生たちは公になるとマズいパーティの秘密がばれることなく、パーティの様子の写真を撮ったりツイートすることを楽しんでいる。

10.「健康と幸せ:手を取り合って」

よりよい健康の追求と同様に、幸福の追求は古代から人間が追い求めているもの。しかし、現代ではこれらの目標は絡み合ったものではなく、別々の目標として見なす傾向があった。それが徐々に変化し、「ウェルネス」という概念が、心と体の両方を考慮した専門用語の一部になり、私たちの健康の概念は、よりホリスティック(総体的)なものに成長してきた。科学、医学、心理学の専門家がその相互関連性を指摘しているように、幸福は 「健康とウェルネス」の考え方に組み込まれつつある。

具体例:ネスレは2011年にオーストラリアで、「このふたつ(健康と幸福)の関連性についてより詳しく理解することで、より健康的で幸せな人生を送れるように、すべてのオーストラリア人の態度や行動を積極的に変える」キャンペーンを開始。サイトでユーザーは、ライフスタイル、行動や態度について尋ねるHHQ(幸福健康指数)を測定するためのテストを受け、オーストラリアの平均と自分のHHQを比較することができる。サイト上の集計によると、87,000人以上がすでに試験を受けており、内容は、フィットネス、健康的な料理、栄養及び「幸せ、面白いこと、歓び」などを含むトピックスをカバー。ネスレは、ネスレ自身が地域社会や集団行動の一体感を育てながら健康と幸福に関係する会話の一部となっている。

同社では、来年1月以降、本レポートに日本ならではの視点と具体事例を加えた「日本版10大トレンド」を発表する予定だ。