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【2013年予測】商品、広告、CSRの境目が溶解する中で、一貫した“らしさ”を——「ブレーン」編集長 刀田聡子

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震災からの復興が大きなテーマとなった2012年。何をいかに伝えるか、話題性ある広告クリエイティブや広報PRを組み合わせたコミュニケーション・デザインが問われ、いかに販売実績につなげていくか販売促進のアイデアの力が問われた。2013年は広告界にとってどんな年になるのか。「宣伝会議」「販促会議」「ブレーン」「広報会議」の編集長が展望する。

ブレーン編集長 刀田聡子

“モノづくり革命”をうたう『MAKERS』がヒットし、3Dプリンタへの注目が高まり、日本でも市民工房「FabCafe」が注目を集めた。2012年は、企業(送り手)・ユーザー(使い手)・クリエイター(つくり手)の関係にドラスティックな変化が起きはじめた年だった。その中で活躍が目立ったのが、ファシリテーターやプロデューサー、コネクターなど、プレイヤーの新しい組み合わせを考え、結びつけ、企画として世の中に送り出していく人々だ。昨年ブレーンでは「共創型クリエイティブ」(7月号)、「プロデューサーとつくり手の新しい関係」(1月号)といった特集テーマで、この変化を描き出そうとしてきた。周りの力を上手く引き出し、つなぎながら化学反応を起こしていく「共創」スタイルのクリエイティブは、今年も存在感を強めるだろう。

関係性が絶えず変化し、入れ替わり、周りの景色が変わり続けるからこそ、企業の本質(アイデンティティ)を明らかにしようとする活動が、以前に増して重視されるようになった。グローバル化やマルチデバイス化が進む中、重要なのは、一つひとつの地域事情やメディアに細かく対応することより、むしろ、どんな言語やメディアでも変わることのない“らしさ”やアイデンティティを考えることだ。視線を上げ、俯瞰の眼を持つこと。近年インナーコミュニケーションに注力する企業が増えているのは、その“らしさ”をより強化しようとする動きだろう。商品、広告、CSRなどの境目が溶解していく中、一貫した“らしさ”が感じ取れるようになっていなければ、効果的なコミュニケーションは生み出せない。昨年「セルフブランディング」というワードが台頭したが、ソーシャルメディアの時代には、企業にも個人にも“らしさ”を磨く活動が求められていると感じる。

こうした変化の中で、クリエイターの役割はどう変わるのか? 商品開発やマーケティングに参加するなどの“代理業ではない”クリエイティブや、ファシリテーションやプロデュースに徹する“作らない”クリエイティブの領域が、より広がっていくはずだ。一見新しい仕事のようでいて、クリエイティブなアイデアで課題を解決する、というアイデンティティは昔も今も一貫している。メディアや手法から自由になることで、逆にクリエイターという職業の“らしさ”がはっきり見えてくる。今年も、クリエイターの力が求められるフィールドと、そこで力を発揮した素晴らしい仕事を、しっかりと描き出していきたい。

他誌編集長による【2013年予測】

  • 宣伝会議編集長 谷口優「マーケティング環境、今年を予測する3つのキーワード」
  • 販促会議編集長 中澤圭介「来店を促進するデジタル技術の工夫と活用に注目」
  • 広報会議編集長 上条慎「低成長時代の広報へシフト進む」