メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×
コラム

ブランコを漕いでリボンを考える―学生コンテストを通じて見た、企画に大切なこと―

リボン思考は社会を変える力になる

share

レベルの高かった本選、7チームで開催

長いようで短い15分の間に、インプットからアウトプットまでの流れと考え方をプレゼン。惜しくも予選を通過しなかった参加者も、その発表に聞き入っていました。

こんにちは、宮澤です。
学生向けブランドデザインコンテスト「BranCo!」を通して、企画に大切な“リボン思考”の流れを解説してきた本コラムも、いよいよ最終回となりました。今回は、1月下旬に行った「BranCo!」最終審査の模様とともに、この企画の手応えをまとめてみたいと思います。

さて、ざっと振り返ると、私たち博報堂ブランドデザインは昨年10月に「BranCo!」をスタートさせました。35チーム、約200人の大学生・大学院生が参加した本コンテストでは、3回のセミナーを通してリボン思考を習得してもらい、テーマに据えた「『お土産』の新しいブランドデザイン」に取り組んでもらいました。

事前に行った予選を通過した6チームに、本選当日の午前中に実施した敗者復活戦を勝ち抜いた1チームが加わり、本選は全7チームで開催。各チームは15分のプレゼン時間内に、インプット、コンセプト、アウトプットの各段階でのアイディアや実施内容についてプレゼンテ―ションしてもらうという方式です。

今回のコンテストではリボン思考の習得を目的としていたので、審査でも当然ながら「それぞれの3フェーズをしっかり踏まえているか」という点を評価の中心におきました。また、別途オーディエンス賞を設け、全プレゼン終了後に観覧客の皆さんにケータイ投票にて参加してもらいました。

非日常から日常への切り替わりに着目

branco6-2

グランプリを受賞した『ほっとひといき しめのいちぜん』。 パッケージ上部には「お父さん」「子ども」など、家族のメンバーの名称が書いてあります。

予選を勝ち抜いただけあって、本選は大変にレベルの高い内容となりました。各チームとも、お土産の定義やそれが登場するシーンを掘り下げ、オリジナリティのあるコンセプトを導き出していました。また、細部までこだわったプロトタイプを用意したチームも多数ありました。

ハイレベルなプレゼンの中で評価を分けたのは、一貫性でした。インプット、コンセプト、アウトプットの各段階はそれぞれ充実していても、アウトプットを見てからインプットまでさかのぼるとちょっとずれてしまっていたり、コンセプトには説得力があるのに最終的な作り込みの詰めが甘かったりと、惜しいと感じさせる点が散見されました。

そんな中、見事グランプリとオーディエンス賞に輝いたのは、芝浦工業大学デザイン工学部3年生3人によるチーム・大盛りライスの「ほっとひといき しめのいちぜん」でした。割り箸の先にインスタント味噌汁がキューブ状に仕込まれていて、そのままお湯に溶くだけで味噌汁になるという商品です。

branco6-3

グランプリとオーディエンス賞を受賞した高橋由利江さん、大友わかなさん、菅原利晃さん。まだできたばかりの芝浦工大デザイン工学部の名を上げたいという点も士気につながったそうです)

彼らはインプットの段階でお土産にまつわる具体的なシーンを探し、「家族旅行から帰るとその日の夕飯に困る」という母親のインサイトに気付きました。帰ってきた日の夜は、非日常から日常へと切り替わるポイントです。そこに登場することを想定し、“旅の終わりをホッと締めくくるお土産”という秀逸なコンセプトを導出していました。受賞メンバーの3人によると、締めのお土産、ほっとする、などから「味噌汁」はすぐ浮かんだそうですが、具体的にどういう形にすべきかが一番難しく、パッケージや作り方にまでコンセプトを反映させることに頭を悩ませたそうです。
次ページヘ続く