ニュース性のある3つの“初” 「サンダーバード」と防衛省がポスター製作―「サンダーバード & 自衛隊」―

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ここ近年で企業や業界の枠を超えたコラボレーション型の広告が増えている。ブランディングから販売訴求、広告コストの削除など、様々な効果が得られるブランド力のある者同士のコラボレーション。その事例を紹介する。

サンダーバード(ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント)×防衛省

英国の特撮人形劇「サンダーバード」と防衛省のコラボレーションポスターが3月に掲出され、話題を呼んでいる。同省が外部とコラボレーションするのは初めて。サンダーバードも国の機関とコラボするのはこれが初めてだ。

取り組みが一致 昨年末に企画提案


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ポスターは全5種類。「自衛隊」の文字が「サンダーバード」のロゴ風になっており、スーパーメカ・サンダーバード1~5号を操るトレイシー兄弟と、同省のマスコットキャラクター、「ピクルス王子」が共演。

ポスターは2月27日に発売された「サンダーバード」の9枚組ブルーレイ・コレクターズBOXのPRと、防衛省と自衛隊に関する「国際平和協力活動」「災害救助活動」「自衛官募集・救護」の広報啓発促進を目的に、全部で5種類が製作された。

今回のコラボレーションを企画したのは、ブルーレイ・コレクターズBOXの発売・販売元であるジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント。同社のマーケティング部宣伝の百瀬 潤氏は、「『サンダーバード』は、国際救助隊がスーパーメカを駆使して救助する活躍を描く物語。同様に国内と国際社会の平和活動に従事する自衛隊とコラボできたら面白いと思い、ダメ元で提案した」と、立案理由について説明する。

ファーストアプローチは昨年末。外部とのコラボレーション経験のない相手、しかも利益団体ではない国の機関である防衛省が果たして企画に理解を示してくれるのか…。「最初の打ち合わせの際には、過去に官公庁とコラボした実績資料を用意するなど、事前準備は周到に行った」と百瀬氏。結果的には先方も企画内容を面白がってくれ、後日快諾を得ることができた。

企画提案からポスター製作、納品までは約3カ月。「お互いが楽しみながら製作を進められた」と百瀬氏は振り返る。

宣伝効果を二乗三乗するために パブリシティを重視

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ポスターは全5種類 「自衛隊」の文字が「サンダーバード」のロゴ風になっており、スーパーメカ・サンダーバード1~5号を操るトレイシー兄弟と、同省のマスコットキャラクター、「ピクルス王子」が共演。

ポスターは、「自衛隊」の文字が「サンダーバード」のロゴ風になっており、スーパーメカ・サンダーバード1~5号を操るトレイシー兄弟と、同省のマスコットキャラクター、「ピクルス王子」が共演しているビジュアル。ちなみにピクルス王子の使用アイデアは、防衛省側からの提案だったそうだ。

5種類各3000枚、計1万5000枚のポスターは、全国の公共交通機関、教育関連機関、基地や駐屯地などで掲示され、掲出直後からツイッターなどのSNS上で話題になった。

特に「防衛省が初めて外部とコラボレーションした」というニュース性もあり、一般紙やスポーツ紙をはじめ、WEB媒体で記事が掲載された。宇宙飛行士の野口聡一さんがWEBの記事についてツイッターで触れたことも、パブリシティの拡散に一役買った。

これについて百瀬氏は、「宣伝費が限られており、特にエンタメの世界は“アド”より“パブ”にウエイトを置く慣習があるので、いかに話題を最大化させるかが広告・宣伝活動では重要だった。その意味では、宣伝効果を二乗三乗させることができ、効率よく話題を広げることができた」と、話している。

さらに警視庁ともコラボ

コラボレーションの実効果も出始めており、防衛省では通常の自衛官募集告知よりも問い合わせが多く集まっているという。一方でブルーレイ・コレクターズBOXのほうも売上は順調だそうだ。

さらに、警視庁交通部とコラボポスターの製作・掲出も決まった。こちらは高齢者の交通事故予防の啓発を目的にしたもので、4月から東京都内の警察署、交番、駐在所、公共施設などで掲出が始まっている。

そして、話題になれば、双方のブランディングにもつながる。「サンダーバード」の国内ライセンス権を所有する東北新社からも、今回の防衛省とのコラボレーションによって、「『サンダーバード』のブランド価値が上がった」と言われたそうだ。

防衛省に対しても、好意的な意見が寄せられている。

成功のキーワードは“初”

ブルーレイボックス

9枚組ブルーレイ・コレクターズBOX Thunderbirds TM & (C)? ITC Entertainment Group Ltd 1964, 1999 and 2008. Licensed by ITV Studios Global Entertainment Limited. All Rights Reserved.


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ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントマーケティング部宣伝 百瀬 潤氏

今回のコラボレーションの成功を振り返って、ポイントになるワードは「初」だと百瀬氏は言う。

「コラボレーションという手法が増えてきている中、方法それ自体はもはや新鮮ではない。コラボした上で、さらに話題を広げるには、プラスアルファが必要。今回はそのプラスアルファが“初”という要素だった」(百瀬氏)。

防衛省が“初めて”のコラボ、「サンダーバード」が“初めて”国の機関とコラボ、「サンダーバード」の“初”ブルーレイ化…。3つの“初”が、ニュース価値を高め、結果をもたらした。

互いのキャラクターや相性も大事である一方、別の切り口からの話題性があれば、効果はさらに高まる。そうすれば、「ニュースになったときに、見た人たちは何かひとこと言いたくなる」と百瀬氏。「サンダーバード」と防衛省という異色の組み合わせに、「まさかのコラボ!」「確かに取り組みは一致している」など、ポスターやニュース記事を見た人の感想がツイッター上に多く集まった。こうした発言の一つひとつが次の発言を呼び起こし、話題の増幅を後押ししたようだ。

百瀬氏は今後について、「我々はコラボを前提としてプロモーションを考えているところがあるので、今後も面白い企画を考えていきたい」と話している。

7月には日本科学未来館で企画展 「サンダーバード博~世紀の特撮が描くボクらの未来~」 が開催される予定で、今後ますます「サンダーバード」を取り巻くコラボレーションが盛り上がっていきそうだ。

コラボレーション成功の鍵

「話題を広げるプラスアルファが必要」

「初めて」であることは大きなニュース。互いのキャラクターや相性も大事だが、話題を最大化することを狙うとすれば、「初」は情報の拡大を後押しする。特に今回は「サンダーバード」と「防衛省」の取り合わせ自体の話題と相まって、広告・プロモーション全体を大きく見せることができた。

※本記事は宣伝会議4月15日号からの抜粋となります。


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