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参院選2013 ネット選挙の戦い方 ~「選挙不参加は、300万円の権利をドブに捨てること」小倉淳編(1)

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ネット選挙解禁の本質は、“伝える”ことより“聞く”ことと話す元日テレアナの小倉淳氏(左)。聞き手は小川和也氏(右)

参院選は来月4日に公示予定。いよいよ2週間にわたる選挙戦が始まる。元日本テレビアナウンサーで江戸川大学教授の小倉淳氏は、日本維新の会から初出馬する。その名刺には、「アナウンサーの仕事とは、人に何かを『伝える』ことと思われがちですが、実は何より大切なのは人の話を『聞く』ことだと、私は信じています」と書かれている。ネット選挙の可能性は、「伝えることよりも聞くことに本質がある」と話す小倉氏に、その戦い方を聞いた。

―広報会議編集部では、7月号の特集「ネット選挙のコミュニケーション」に合わせ、参院選に臨む候補者の戦略を紹介していきます。聞き手は、企業を中心にソーシャルメディアマーケティングを手がけるグランドデザイン&カンパニー 代表取締役社長 小川和也氏。

テレビはネットを軽視していた

「アメリカ横断ウルトラクイズ」ニューヨーク決勝にて

小川:そもそも、なぜ参院選に出馬されることになったのですか?

小倉:山田宏さん(日本維新の会・広報委員長)と中田宏さん(元横浜市長)と、以前ラジオ番組でご一緒した際、既に退任が決まっていた中田さんから、冗談で「僕の後を継いで(政治の世界に入って)よ」と言われました。その時は固辞しましたが、その後の政治活動も折を見て応援していたところ、日本維新の会として東京選挙区から出てくれないか、という話をいただきました。

小川:この十数年を振り返ると、マスメディアとインターネットとの距離感が開いている時間がしばらく続いていたように思います。小倉さんは日本テレビのアナウンサーとして長年活躍されてきたわけですが、マスメディアの中にいてその距離感を感じていましたか?

小倉:その通りなんですよ。2003年に日本テレビのホームページ編集長を命じられ、現場に協力をお願いすると「ネット? 面倒だからいいよ」と言われてしまう。とにかく、情報を引き出すのがとても大変でした。

たとえば、某男性アイドルの映像。ポスターは紙なのではがせば終わりなのでOK。ところが、ネットに載せると、勝手にキャプチャされるし、海外にも流布してしまうから絶対にダメだと当時は断られました。そんなものかと納得していましたが、あの頃はネットにかける人員は今の100分の1、予算は1000分の1くらい、そういう時代でした。

ネット広告の市場もまだ小さかった。広告市場約6兆円のうち、テレビ広告が2兆弱。1000億を超えたばかりのネットなんて大きな市場にならない、と考える人たちが8割くらいでした。残りの1割くらいが面白いと思っていて、残り1割が分からない、と。

小川:私は04年にネットのベンチャー企業を創業しましたが、ネットの扱いについて当時は同様の印象を受けました。でも、今は明らかに状況が変わりました。

小倉:いくつか理由があると思います。1つ目はインフラ整備。昔は一度にやり取りできる通信量に制約がありました。ところが、光通信が普及して動画配信をするのに技術的なストレスはなくなりました。テレビ番組のクオリティに近いものがネットでも流されてしまうという危機感から意識が変わってきたのだと思います。

小川:ユーチューブやニコニコ動画、ユーストリームのような映像系のソーシャルメディアをどのようにご覧になっていますか。それらのサービスが成長する中で、テレビとの差異が多面的に考えられる機会は増えたと思いますが。

小倉:関わっている人のテクニカルの違いだけで流せる内容は変わらないと思います。ネットでも、カメラワークを工夫してカット割りをしたり、字幕スーパーをつけることもできます。ただ、同じ設備でもテレビは数百億かかり、ネットは数百万円でできてしまう。通信が途絶えるぜい弱性の問題以外はそん色ありません。

今後、スマートテレビが普及すれば、モニター上ではテレビ映像もネット動画も全く同じ土俵に立つことになります。コンテンツ勝負ではないでしょうか。

テレビの総世帯視聴率(HUT)はゴールデンタイムでも1997年以降ほぼ下がり続けており、ピーク時から8ポイントも下げています。教え子の大学生に聞いてみると、感覚の違いに驚かされます。私が若い頃は「1日中テレビを見ることができたらなんて幸せだろう」と思っていましたが、今の大学生にそんな意識はありません。録画やネットで後から見られるから“今”見る必要はないのです。

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