コラム

宣伝会議 インターネットフォーラム 2013

3ジェネレーション別の戦略でLTV向上を目指す――ファミリーマート

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宣伝会議は、6月5日に東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、「宣伝会議インターネットフォーラム2013」を開催しました。WEB・デジタルテクノロジーの発展と、それに伴って大きく変わりつつあるメディア環境や消費者行動をとらえ、企業コミュニケーションの未来と、そこでのデジタルの活用可能性を探る同イベント。今回の来場者数は、前回の2591人を大きく上回る3521人にのぼりました。
幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。

登壇者:岩崎浩(ファミリーマート 総合企画部 マーケティング室長)

国内外で2万2365店舗(6月現在)を展開するファミリーマート。同社は、競争が激化するコンビニ業界にあって、消費者から選ばれ続けるコンビニとなることをめざし、2005年からブランド・コミュニケーション「ファミリーマートらしさ推進活動」に取り組んできた。マーケティング室長の岩崎氏は、「コンビニとしての利便性に加え、お客さまに『気軽にこころの豊かさ』を感じていただけるような存在となることをめざしている」とし、企業そのものへの愛着を持ってもらうことを、同社のマーケティング・コミュニケーションの基本理念としている。

従来は、特に若年層からの支持が高かった同社だが、今後の消費を担う50歳以上の「おとな世代」の獲得をより強化するため、ターゲットの年代を(1)50~65歳の「フォーカスターゲット」、(2)20~30代の「絆深耕ターゲット」、(3)15歳未満の「育成ターゲット」に3分類。2010年から、各年代に合ったコミュニケーション戦略を展開している。

たとえば(1)のフォーカスターゲットに向けた取り組みとしては、おとな向けの商品・サービスの開発や、イベント・社会活動の企画などを行う「おとなコンビニ研究所」を2010年に設立。同研究所のフラッグシップショップとして、代官山T-SITE内に「ファミリーマート代官山店」を展開するほか、TBSラジオで提供番組『生島ヒロシのおはよう一直線 FamilyMartおとなコンビニ研究所』を放送、180万人にのぼるリスナーに向けて、ファミリーマートが考える「おとな文化」を発信。ターゲットの興味・関心事を通して、企業名に触れてもらう機会を設けている。

(2)の絆深耕ターゲットに向けた取り組みとしては、メディア発信力のあるコンテンツとの連携を積極的に進めている。たとえば吉本興業とは2012年に包括契約を締結、吉本興業の動画配信サイトや、所属芸人が出演するテレビ番組、芸人個人のツイッター、店舗などクロスメディアで、多様なコラボ企画を実施している。

また、ソーシャルメディアを使ったコミュニケーションにも力を入れる。フェイスブックは20万人、ツイッターは8万人、LINEは400万人ほどの会員が登録されており(5月現在)、集客・販促、または関係性構築と、目的別に使い分けている。特に2010年からは各種SNSと連携した商品開発に取り組むなど、ユーザー参加型企画を重視している。同社調査によると、フォロワーのLTV(態度変容)は非フォロワーに比べて2.4倍高く、またエンゲージメントの高いフォロワーほどLTVが高いことが明らかになったという。

(3)の育成ターゲットとは、主にCSR活動を通した関係構築を進めており、その一つに、感謝の気持ちを綴った手紙を応募してもらう「ありがとうの手紙コンテスト」がある。審査委員長にフリージャーナリストの池上彰さんを迎えた同コンテストは、4年間で約8万2700通の応募があり、応募者とそのs家族との重要な接点になっている。

こうした「ファミマらしさ」を重視したコミュニケーションを継続することはもちろん、「今後は従来の枠にとらわれない新たなサービスの提供も強化していく」と岩崎氏。買い物不便地域における移動販売車や宅配サービス、自販機コンビニ(ASD)、ドラッグストアとの一体化店舗など、新たなサービスを積極的に打ち出していくという。その背景には、2011年3月の東日本大震災以降、コンビニが人々にとっての“社会生活インフラ”としての役割を再認識いただいたということがある。同社の2013年度の企業メッセージは、「もっと笑顔に、もっとコンビに。」。「心理的にも物理的にも、よりお客さまに近づき、ファミリーマートの価値を感じてもらいたい」(岩崎氏)と締めくくった。

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