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コラム

CSR視点で広報を考える

カネボウ自主回収問題徹底検証――老舗ブランドゆえに背負う「高潔さ」と期待される「危機管理対応」(上)

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前科のあった「カネボウ」

「カネボウ」は2004年3月、経営悪化から産業再生機構に支援要請、支援決定されるも内部調査で巨額の粉飾決算が判明した。その後、経営浄化調査委員会の調査結果で、粉飾は1998年度から5年間にわたり、粉飾額は2150億円に達し、旧経営陣3人(うち2人が起訴)、中央青山監査法人の公認会計士4人(うち3人が起訴)が証券取引法違反の疑いで逮捕されるという大事件に発展した。

手口は、売上高の水増し、子会社の巨額赤字の連結外し、在庫の損失未処理などで赤字を圧縮するもので、意図的な利益操作としては金融機関以外で過去最大規模のものだった。

「カネボウ」は上場を廃止し、2006年1月に花王がカネボウ化粧品を子会社化、化粧品分野でシェア2位となって、現在まで順風満帆に見えた。そのようなときに今回の美白化粧品回収問題は発覚した。2011年から発症事例がお客様窓口に寄せられていたことや、買収後のカネボウ化粧品ブランドの独自性から本来設置されていたクレーム対応のルートが花王本体とは別であったことなどのほか、被害拡大につながる新たな事実が次々に報道され、テレビ報道、SNSにおける風評拡散によって、一気に窮地に追い込まれる。

こうした背景から、「カネボウ」の「隠蔽体質」を再びうかがわせる今回のリコール問題は、老舗ブランドを子会社化した親会社花王にとっても大打撃につながった。ブランドを引き継ぐことの難しさとリスク対応のあり方について大きな代償を払うことになったことは言うまでもない。

「美白化粧品回収問題」の報道後のモニタリング結果

今回の「カネボウ」自主回収問題発表後のメディアやSNS、さらに市場の反応について株式会社VLeの協力のもと、動向を調査した。

テレビ番組

テレビ報道では各局各番組で本問題を取り上げた。度重なる被害者の声や不誠実な事実の発覚について「まとめ的」に番組が繰り返し放送され、30分以上の特集も組まれたことで大きなマイナスイメージが植え付けられた。全体的な広告価値換算にして約43億円のネガティブキャンペーンに匹敵するマイナス価値を生み出してしまった。

ウェブニュース

ウェブニュースは最初の切り出しの早さの特徴のほか、丁寧に繰り返し補足報道を連ねて行く傾向が強く、本件についても継続的に相当数の報道がなされていた。全体的な広告価値換算にして約1.5億円のネガティブキャンペーンに匹敵するマイナス価値を生み出してしまった。

ツイッター

ツイッターはその拡散スピードで最速のメディアであり、一度急上昇したが、すぐ沈静化し、度重なる報道に対して大きなリアクションは示していない。どちらかと言えば意見を述べるよりも行為をつぶやくユーザーが多いことから、夏期休暇などの影響によりその他の投稿・話題に結果的に打ち消され、今回の問題については救われた可能性が高い。

ブログ

一度大きく上昇した後は、再三にわたりなされた報道でも大きなリアクションはなかったが、この理由として、最初の報道である程度まとまった投稿が多く、一定の拡散が認められたとの認知があったものと推察する。一方、その後の投稿の特徴として、被害拡大の様相、医師から化粧品使用後の症状の指摘などの個別事実について掘り下げる者もいた。

検索数

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注:「検索数」については、キーワードとして「カネボウ+白斑」で検証。
◆資料提供:株式会社VLe

※メディアはどのような動きを見せたのか ──続きは明日(8/22)掲載予定です。


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