地球環境問題に関心が高く、専門的な知識をもち、環境サークルや環境NPO等の活動に参加する「環境学生」。環境教育の普及・浸透とともに、環境学生が増えており、大学の教授や職員よりも環境意識が高く、「環境問題を解決するための実践的研究をしたい」というニーズに大学側が追いつかないという現場の声も聞こえてきます。そんな学生環境リーダーたちに、大学における環境活動の課題と展望を聞いてみました。
取材協力
NPO法人エコ・リーグキャンパス・クライメート・チャレンジ実行委員会
慶応大学三田祭実行委員会環境班
エコランキング上位大学と中下位大学で広がるギャップ
――これまでの活動を通じて、一番気になっていることは何ですか。
小竹 エコ・リーグキャンパス・クライメート・チャレンジ実行委員会(CCC)では、大学の環境の取組みを取材して『全国エコ大学白書』として発行しています。アンケート調査や取材では、多くの場合、管財部という部署の担当の方がアンケートや取材に対応してくださいます。管財部がない場合は総務の方が対応してくれます。
上地 数は少ないのですが、特に環境に力を入れている大学の場合は、環境専門の部署の方が対応してくれます。部署によって取組み姿勢の違いがはっきり出ていますね。
小竹 これまでは、ランキングの結果が出てから先進的な取組みを取材していましたが、今年はランキングの結果が出ない段階から取材に行かせていただいています。従来、上位大学の取組みを紹介することによる上位集団への啓発を目指してきましたが、今年は中~下位で伸び悩んでいる大学に光を当てて対策を応援していく方針です。
取材のなかで、複数のキャンパスをもつ大学の場合、あるひとつのキャンパスだけで取組みが進んでいて、ほかのキャンパスで進んでいないというケースが見られました。たとえば、大学では環境活動のための会議を行っていて、各キャンパスから担当者が集まってきてはいるものの、取組みが横展開していかないというお話が聞かれました。
上地 担当者レベルと学長や理事会・評議会などを含めた全学的な取組みになっているところとでは大きな差がありますね。
――格差が広がっているのはなぜなのでしょうか。
上地 大学が環境対策を進めていく動機は大きく2つあると思っています。1つは大学の国際化という大きな流れの中で、日本の一流大学として、グローバル・スタンダードに合わせなければならないということ。これは、東京大学のサステナブル・キャンパス・プロジェクトや京都大学の環境安全保健機構のような先端的な活動や、ISO14001の認証取得が当てはまります。
もう1つは、小規模大学が、生き残りをかけて環境に本腰を入れているパターンです。学長のトップダウンの下、環境の部署を創設して、教授や職員の方が責任者として取組んでいるケースが見られます。
北 東京大学では、前学長の小宮山先生が大方針を示したことによる影響が大きいと思います。
上地 ただ、一部の先進事例を除くと、上場企業の環境活動と比べて大学の取組みはまだまだだなと感じます。省エネ=経費削減くらいの認識の担当者が多いという印象です。
服部 省エネも継続すれば効果は大きいと思いますが、東北大学では、震災後のリバウンドが出ています。震災直後にはエレベーターの使用を控えるなど、全学的に取組んできましたが、時間の経過とともにエネルギー使用量が増えています。エネルギー使用量の公表は継続していますが、僕個人としては、震災で大変な思いをしたからこそ、東北大学は省エネのリーダーシップをとってもいいんじゃないかと思っています。
上地 ISO14001の認証取得が全学的な取組みのきっかけとなっていると思います。組織をいかにマネジメントしていくかが問われるので、組織横断的な体制になり、結果として意識改革や継続性に結び付きやすいと思います。
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