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全入時代、大学の社会的責任(USR)が問われている(3)

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全入時代、大学の社会的責任(USR)が問われている(1)(2)に引き続き、『環境会議』2013秋号「エコ大学」特集の一部をご紹介します。

取材協力
NPO法人エコ・リーグキャンパス・クライメート・チャレンジ実行委員会
慶応大学三田祭実行委員会環境班

座談会に集まったメンバー

広がる環境学生と大学教職員の意識のギャップ

――地球環境問題に対してアクションを起こしていこう、社会を変えていこうという意識は、環境学生のほうが進んでおり、教職員のほうが遅れているとの指摘があります。

 2000年頃から学生の環境活動が活発化してきていますが、それを大学の環境対策に還元できていない面があります。そもそも大学側は学生の環境活動にあまり関心をもっているようには思えないし、学生も大学よりも、地域住民や国際交流になっている、大学の外側の人と交流したいという傾向があると思います。たとえば、環境三四郎では、駒場キャンパスで堆肥化プロジェクトを行っていますが、大学の環境対策の一環として一緒にやってくれていた時期もあったのですが、担当者が変わったときに連携が終わってしまいました。今は、大学の落ち葉に大学周辺の小学校の給食の残渣を加えるというかたちになっています。大学の学食の残渣は加えていません。

上地 大学と学生が連携している数少ない例として、千葉大学と三重大学があります。ISOの取組みでは、学生委員会と教職員の委員会が意見交換をしたり、教育・実践型のプログラムを実施し、100~200人単位の学生が参加していると報告されています。

 大学教職員と学生委員会とが定期的に意見交換をしながら進めているところがすごいですよね。

上地 学生の意見が認められて、大学運営に取入れられるということは学生の意欲や責任感を引き出すうえでも、大学の取組みを進化させるうえでも重要だと考えています。早稲田大学のロドリゲスでは、学生と大学の橋渡しを試みたのですが、学生のやりたいことと、大学が課題として考えていることが食い違っていて、簡単ではありませんでした。
また、学生は4年で卒業してしまうので、リーダーシップのある熱心な学生がいるときはいいけれども、学生間の引き継ぎがうまくいかなければ続かないということもあります。

 環境学生とはいえ、環境への関心が一過性の場合もあり、長期的なビジョンを実現させていく難しさを感じます。

関心のない人にどう伝えるか。課題は啓発とPR

――たくさんの人が集まる学園祭での環境活動はどうですか。

中村 三田祭では、毎年ゴミステーションを設置して、指導員が分別指導を行い、可燃ゴミ、不燃ゴミの分別はもちろん、容器、缶、ビン、ペットボトル、ペットボトルキャップ、チラシ・雑誌、割りばし・竹串などのほか、各出展団体の出すダンボールや木材、生ゴミも分別リサイクルしています。

これまで環境サークルE.C.O.と三田祭実行委員会、そして各参加団体の環境担当者と一緒にゴミの分別活動をしてきて、やはり環境意識の差を感じます。三田祭に来る人は楽しみたくて来ているので、基本的には環境に関心がない人のほうが多く、そういう人たちに、いかにして分別を呼びかけていくかが課題です。

また、大学側にとっても、環境活動の優先度はあまり高くないと感じています。三田祭には4日間で20万人が来場すると言われていて、酒類も販売しているので、安全対策や泥酔者防止など、優先事項がたくさんあるので、環境対策は「任意でやればいい」という感じです。

 やはり学生だけでやると、専門的ではないので中途半端になりがちです。環境三四郎での経験を踏まえると、専門家のいる地域の市民団体と連携してノウハウを高めていくことは重要ですね。

中村 三田祭実行委員会でも、引き継ぎをしっかりするなど、もっと組織としての知見を高めていきたいと思いますが、本格的に活動できるのは2年生までなので、なかなかノウ
ハウが高まっていかないというジレンマも感じます。ただ、3年生になると、現場実務の負担が少し軽くなるので、周辺地域の方々と交流していきたいと思っています。これまではPRがあまりできていなかったので、20万人の人が集まる学園祭の場を活かしてPRしていきたいと思います。

 基本的に環境団体はほかのサークル等と比べると、PRが下手ですね。根底には、地道な取組みによる実績を重視すべきという考え方があると思います。

 

『環境会議2013年秋号』
『環境会議』『人間会議』は2000年の創刊以来、「社会貢献クラス」を目指すすべての人に役だつ情報発信を行っています。企業が信頼を得るために欠かせないCSRの本質を環境と哲学の二つの視座からわかりやすくお届けします。企業の経営層、環境・CSR部門、経営企画室をはじめ、環境や哲学・倫理に関わる学識者やNGO・NPOといったさまざまな分野で社会貢献を考える方々のコミュニケーション・プラットフォームとなっています。(発売日:9月5日)
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