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ACC賞「CMを動かす個人の力」に焦点を当てた「小田桐昭賞」を新設

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小田桐昭賞を受賞した三井不動産リアルティ「三井のリハウス」声鉛筆シリーズ

9月26日に発表となった本年度のACC賞では、CM部門に「小田桐昭賞」を新設。三井不動産リアルティ 三井のリハウス「声鉛筆シリーズ」の制作者である黒田康嗣氏、藤田純平氏に贈られた。

この賞はその名のとおり、クリエイティブディレクター 小田桐昭氏の名前を冠したものである。小田桐氏は1961 年に電通入社後、現松下電器、資生堂、トヨタ自動車などを担当。ACCグランプリ、カンヌ国際広告フェスティバルなど、国内外で200以上の賞を受賞し、テレビコマーシャルの黄金時代を牽引してきた。ACC賞クリエイターズ殿堂の受賞者であり、現在はクリエイターズ殿堂の選考委員長も務めている。

テレビCM審査委員長 岡康道氏いわく「広告界においては、王さんと長嶋さんを足したような存在」であり、多くのCMプランナーにとっても“歴史的存在”といえる人だ。

実はこの賞、本年度の募集時には存在していなかった。今回の審査において、多くの審査員が三井のリハウス「声鉛筆シリーズ」を高く評価したが、従来のクラフト賞には「プランナー」を顕彰する枠がなかった。そこで、このCMの企画やアイデアの力に対し、それを考えた「個人」にエールを送りたいという審査員の思いから新設されたのが「小田桐昭賞」である。

「文学界に芥川賞や直木賞のように、広告界の小田桐昭賞も後世までずっと残る賞になれば」と岡氏。ACCとしても今後、この賞を継続していきたい考えだ。

「クリエイターズ殿堂」においても「個人の力」を重視した選考が行われた。クリエイターズ殿堂は、作品と同時に優れたCMを長年作り続けたクリエイターにも焦点を当てようと、2010年ACC50周年を記念して創設されたもの。3回目を迎えた今年、殿堂入りしたのは下記の四氏。


CMプランナー/ディレクター 故・内田健太郎氏(左)、ディレクター 大林宣彦氏(右)


作曲家 小林亜星氏(左)、ディレクター 故・高杉治朗氏(右)

選考委員長を務めた小田桐氏は、各人の選考理由を次のように話した。「内田さんは独特なユーモアあふれるCMをつくり、海外でも高く評価された。大林さんはフィルムの合成技術を使った映像表現で、CMに新しい世界を持ち込んだ。小林さんは誰もが親しみやすい数多くの音楽を作り出し、高杉さんはデザインをベースにした静的なCMで、新しい表現のきっかけをつくった人。CM草創期に活躍した人たちはいずれも表現において何かを突破し、世の中を動かしてきた。すでに鬼籍にはいられた方もいるが、各人の仕事をきちんと顕彰し、その知見や技術などの軌跡を保存し、後世の若い人たちに伝えていかなければならない」。テレビCM誕生から60年を経て、これまでCM界に蓄積されたクリエイター個人の知見や技術を後身にいかに伝え、メディアの多様な展開にどう生かしていくか、考えるべき時期を迎えている。

これまでクリエイターズ殿堂入りしたクリエイターの作品は、アド・ミュージアム東京(東京・港区)および放送ライブラリー(横浜市)で閲覧できるようになっており、本年度受賞した4人の作品も近々に閲覧可能となる。

なお本今年度ACC CMフェスティバルに入賞した作品の中から選りすぐりの傑作CMを上映・公開する「入賞作品発表会」を、11月8日(金)有楽町朝日ホールマリオン(東京地区)を皮切りに、全国30ヶ所で予定している。