上川内利博氏(パナソニック アドメディアセンター所長)
新聞広告を使うのは、自社の姿勢を世の中に伝えたいとき
2008年10月1日、社名を「松下電器産業」から「パナソニック」に変更するにあたり、新聞広告で私どもの決意を明らかにしました。
前日の9月30日には、中央5紙、ブロック3紙、地方44紙に、15段(1ページ)広告で、これまでの感謝の気持ちと、社名が変わっても会社の理念は変わらないことを宣言しました。
10月1日は、前日出稿した新聞すべてに30段(2ページ)広告を出し、新社名の告知および社名変更にともなう思いをお伝えしました。
これは、ひとつの「けじめ」のようなものだったと思います。長年ご愛顧いただいたナショナルブランドのファンや松下電器ファンの皆様に、きちんと説明責任を果たすということです。社名変更の告知はテレビやWebなどのメディアでも行いましたが、「感謝」や「決意」をしっかりと消費者に向けて届けられるのは、新聞メディアならではの特長だと思います。
一方、危機対応でも新聞広告を使いました。05年に発生した石油温風機のリコール問題です。11月末から「謹告」を出し、12月には社長名によるおわびの15段広告を掲載したのをはじめ、製品の回収告知広告を中央紙から地方紙まで出し続けました。回収活動は今も継続しています。広く社会にメッセージをお伝えしていくのは容易ではありませんが、事故に対するおわびと、製品回収に取り組む姿勢を伝え続ける手段として、新聞は極めて有効だと考えています。
新聞広告を出すタイミングは、新商品の発売日やテレビスポットの開始日に合わせるケースが大半です。環境配慮型家電「エコナビ」商品群やスマート家電の関連商品など、単に商品特性だけでなくコンセプトや自社のスタンスも訴求したいようなケースでは、新聞広告を使うようにしています。「世の中に伝えていかないといけない」という意識が強いとき、新聞広告の活用がメディアプランに上がってきます。
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