シェアされやすい感情、されにくい感情
西村:ナイキのソーシャルバナーの企画とも共通しますが、最近のテレビ局との取り組みでも重視しているのは、「身近な友達が常に近くにいる」状況をつくること。それが自分ゴト化につながると考えているんです。
昨年の1月、日本テレビ放送で放映された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」で、スマホを通じてゲームに参加するイベントを仕掛けたんです。
視聴者には放映前に、スマホから特設サイトにログインしてもらう。それで劇中で、「逃げちゃダメだ」などの有名なセリフが登場するシーンが近づくと秒読みが始まる。さらに、そのセリフに合わせてタイミングよく画面をタップすると「シンクロ率」が上がるというものです。(「シンクロ率」とは、「ヱヴァンゲリヲン」に出てくる言葉)。
企画のポイントは、フェイスブックやツイッターでログインすると、友だちのシンクロ率もわかるようにしたこと。一人でテレビを見ていたら、チャンネルを変えてしまうかもしれない。でも、友だちが見ていることがわかると、最後まで見続けてしまう心理が働くのではないかと思ったんです。
ただ、実際にやってみての感想は、その番組が好きな人はたとえ一人でも見続けるということで…。コンテンツが強力ならば、ソーシャルは必要ないかもという気もしました。
谷口:それは、コンテンツが引き起こす感情によってシェアされやすいもの、されにくいものがあるということではないでしょうか。例えば、笑いの感情はシェアしたくなりますが、怒りの感情はあまりシェアしようと思わない。コンテンツの性質も影響していそうです。
≫次ページ 「滑らないためのリスクヘッジ」に続く
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