コラム

続・「広告なのにシェアされる」コンテンツ・マーケティング入門

niconicoの杉本誠司さんに聞きに行く!「脱マスプロモーションの方向性」(後編)

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【「広告なのにシェアされる」コンテンツマーケティング入門】
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谷口 マサト(LINE 広告事業部 チーフプロデューサー)
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杉本誠司(二ワンゴ 代表取締役社長)

こちらはniconicoの杉本誠司さんに聞きに行く!「脱マスプロモーションの方向性」(前編)の続きです。

良いところも、悪いところもすべてを説明

杉本:こういう話をユーザーの方たちが聞いたら怒るかもしれませんが、でも自分自身を考えてもネットに向かう時のマインドセットって、なにか自分たちを世の中から低く設定しているような、そんな目線になっている気がするんです。

なのでネットユーザーにとって企業は、上から目線で物を言ってくる存在。その企業が自分たちと同じ目線で入ってきてくれたら、それがプロモーション目的であっても、ユーザーもきちんと向き合ってくれるし、間合いが近づくのではないかと考えています。

谷口:消費者としてきちんと向き合っているというスタンスが見えれば、変に茶化したりせず、話を聞いて評価をしようという雰囲気が生まれるのでしょうか。

杉本:はい。あと、企業もユーザーに何をしてもらいたいのか、最初にきちんと説明することが必要です。商品について良いところも悪いところも、売りがどこかも、全て話す。例えば、開発に携わっている人が出てきて直接、ユーザーと話してもよいと思います。

これまでのマス広告を使ったプロモーションは、商品のいいところだけを取り出して、マスに向けて発信していた。一方で「niconico」のような場でやるべきことは、商品のすべてを見せ、たとえ少人数であっても、その商品を愛してくれるであろう人を見つけ、その人たちに対し誠心誠意、説明していくこと。そして悪いところも含めて「好き」と言ってくれる人を育てていくことではないかと考えています。

手間がかかるので短期的には売上は落ちるかもしれないけれど、ロイヤリティの高いカスタマーを育てていくこの方法の方が中長期的には企業のためになるのではないかと思います。マスメディアを使うと、何度も広告を打てないから、1回しかリーチしなくても印象に残るものを、とどんどん強い表現になっていきますね。

谷口:ネットの場合、1回のリーチは少ないので、ジワジワ回数を繰り返し接触することで、認知を広げていく感じですね。ニコ生の放送では、テレビではできない、何十時間も連続で放送するような番組もトータルで視聴者数が多いですよね。73時間の『龍が如く』ゲーム実況は166万人に見られている。細く、長く続けるのがネット的だと思います。

その時に大事だなと思うのが、制作費のローコスト化です。制作費を抑えると言うと、制作会社の人たちにとっては脅威に思うかもしれませんが、1回あたりの単価を抑えることで、結果として継続してコンテンツをつくっていくことができ、トータルとして制作費を増やすことにつながるのではないかと思っています。

杉本:ネットは「拡散」するイメージで捉えられていますが、広がるまでには結構、時間が必要です。回数も時間も必要なので、ローコスト化してコンテンツを何回も作れるのは、いいですね。商品や企業の理解にもつながると思います。

谷口:テレビには、シリーズ番組がある。なのに、ネットのコンテンツはほとんどが1回限りで終わってしまうことに疑問を感じていました。ネットのコンテンツも、テレビ番組のようにシリーズ化していかないと全体としてのスケールが出ないな、と。

次ページ 「分断するテレビの番組と広告」に続く(2/3)

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