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コラム

続・「広告なのにシェアされる」コンテンツ・マーケティング入門

境治さんに聞きに行く!「広告とコンテンツ融合の可能性」

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商品をどこまでいじれるか?

境:谷口さんはコラムの中で広告と物語を共通キーワードでつなぐ、という話をしていましたね(下部に谷口さんコラム記事より関連する図を引用)。キーワードで接着させる以上に、双方が完全に溶け合っていて、コンテンツを見ているうちに、自然と広告にも触れてしまうような形の方が、より理想かなと思いましたが、それができるかどうかは商品をどこまでいじれるかどうかにかかっている、と。

谷口:そうですね。例えば食べ物が商材だと、下手にいじると食べ物で遊んでいるというクレームにつながるのを恐れて、一切いじるなと言われる時もあります。

その場合は、どうしてもコンテンツは間接的なものになってしまいます。ただ完全に融合できなくても、商品を認知させることだけを目指すのだと割り切るならよいと思いますが。

ただ最近思うのは、ユーザー側は広告とコンテンツを分けて見ているわけではないな、ということです。

境:広告ってどれくらい嫌われているのだろうか、というのも谷口さんに聞いてみたかったことでした。

谷口:つまらない広告が嫌われているだけで、広告であっても面白ければユーザーはこちらが想定した以上に温かく受け入れてくれるというのが私の実感です。

境:でも世の中の風潮として、広告という存在自体に過剰に反応されることがあるように思うのですが。

谷口:それはありますね。みんな、純粋になってきているというか。だからコンテンツに純度を求めるし、広告でも第三者目線と言うか、客観的な裏付けのある真実を求められる流れはあるように思います。

境:広告を忌み嫌う気持ちもわからなくはないのですが、広告があるからこそコンテンツを楽しめるという根本が忘れられつつあるように感じています。テレビで言えば昔は多かった1社提供の番組が減ったことも関係しているのかもしれません。

例えばロッテは「ロッテ歌のアルバム」の提供を通じて、「お口の恋人ロッテ」というイメージを、東芝もサザエさんを1社提供することで、「明るい家族」とつながるイメージを浸透させたと思いますが、この頃はコンテンツとそれを支えるクライアントの関係がより明確に見えていましたよね。

谷口:昔はコンテンツと広告の結びつきが分かりやすかったのに、番組の複数社提供などで儲かりやすくなった反面、その結びつきは見えにくくなった。結果、広告は邪魔者という目で見られやすくなる。皮肉な話ですね。

あらためてコンテンツと広告の関係性を見直す時期がきているのかもしれません。

(次回に続く)



コピーライター/クリエイティブディレクター/メディア戦略家 境 治氏
1962年福岡市生まれ。東京大学文学部を卒業後、1987年、広告代理店I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターとなる。1992年、日本テレビ巨人戦中継”劇空間プロ野球”の新聞広告「巨人を観ずに、めしが食えるか。」でTCC(Tokyo Copywriters Club)新人賞を受賞。翌年独立し、フリーランスとしてCM・ポスターなどの制作に携わり、TOYOTA、JR、日立製作所、フジテレビなど多方面のスポンサーを担当してきた。2006年、長年つきあっていたロボットの経営企画室長に任じられ、プロダクション経営の制度再構築を担う。2011年からはビデオプロモーションでコミュニケーションデザイン室長。2013年7月から、再びフリーランスに。