コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

「コピーライター」を未来に残したい!(1)

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木村吉貴(鎌倉 木村文章店代表。コピーライター/宣伝会議コピーライター養成講座総合コース(現 基礎コース)2004年修了生)

【ほんとうにあった怖い話】
ある方「どんなお仕事をされているんですかあ?」
僕「コピーをつくっています」
ある方「あ、リコウとか?」
僕「どっちかっていうとアホウだと思いますよ」
ある方「じゃなくて、リコーにお勤めかと」
僕「へ?」
ある方「コピーといえばリコーとか、“ コピーは三田 ” じゃないですかあ」

はじめまして。
今回から3回、こちらでコラムを担当させていただくことになりました、「鎌倉 木村文章店」代表でコピーライターの木村吉貴と申します。

華麗な受賞歴も、ハデな大仕事の経歴も持ち合わせていない、一介のコピーライターではありますが、これからコピーライターを目指される方や、現在広告関連のお仕事をされている方などにとって、何らかの足しになるコラムが書けたらと思う次第です。よろしければ、どうぞお付き合いください。

今回はまず、なぜ僕ごときハナクソのような男がコピーライターになろうと思ったのか、そして、どのようにしてコピーライターになったのかを書かせていただきます。

コピーライターになろうと思ったのは、楽勝だろうと思ったからです。

25、26歳の頃、フリーの放送作家をしていた僕は、当時お付き合いをしていた彼女に「家族になろうよ」と福山雅治さんに先駆けた言葉を掛けていました。しかし、放送作家といっても実力不足の僕に大した仕事は無く、アルバイトでギリギリ生活を成り立たせている状況でした。これじゃイカンと。結婚をするならもっときちんと働かなくてはと思ったんです。年齢的にも、もう浮き草生活をしている場合ではないと。人生を変えなくてはいけない時期だと。

でも、「何の仕事でもいい」とまでは思えませんでした。曲がりなりにもテレビ番組をつくる仕事をしてきたので、これからも何かクリエイティブな仕事がしたい。で、学生時代にあこがれた職業のひとつにコピーライターがあったな、と思い出したんです。

コピーって、あの、まちで見かけるポスターとか新聞・雑誌の広告に載っている、短〜い文章のことでしょ。あんな短〜い文章を書くだけの仕事なんて楽勝ですわ。あんな短〜い文章とは比べ物にならない長い文章を書き、かつ企画まで考える仕事をやってきましたんで、僕。まあ、ただ、広告業界にツテもコネもないので、とりあえず養成講座には行っておきますか。

などと思い、通い始めた宣伝会議コピーライター養成講座。そしてすぐに、上記のようなアホウな僕の考えは、ぶっ飛ばされることになりました。課題を提出しては、毎回喰らう大いなるダメ出し。受講仲間たちの、素晴らしい課題作品。超一流のコピーライター・広告人である講師の方々による、未知であり無知を思い知らされる講義…。

僕は、心の底から自分が恥ずかしくなりました。情けなく思いました。腹も立ちました。コピーライターという職業に対する甘っちょろい考えを捨てなければ、人生なんて変えられない。彼女を幸せになどできるはずがない。

自分のカンチガイに気がつき、反省した僕は、それからはもうとにかく真剣に講座を受け、死にものぐるいで課題に取り組むようになりました。すると、コピーの面白さとチカラを、すごく感じるようになっていったんです。高評価の課題作品に与えられる“金の鉛筆”も数本いただけました。ゼロだったコピースキルを着実に習得しながら、“コピーバカ”になれた受講期間でした。

養成講座受講時の思い出の品々。受講証に貼られた25歳当時の茶髪な自分の顔写真に嫌悪感を覚えます。

講座修了後には、「楽勝そうだから」などではなく、「本気で人生を変えたいから」コピーライターになりたいと思いました。彼女との結婚話も進み、講座受講費用としてナケナシの貯金も底をつき、追い詰められていた僕は、なりふり構わず宣伝会議社に押し掛け、コピーライターの求人を紹介してくれるよう懇願しました。

で、紹介していただいた求人でどうにかコピーライターになる夢を叶え、彼女とも無事に結婚をし、かわいい子どもも授かり、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。

養成講座を受講していなかったら、いまのこの幸せはありえなかったと思います。あんなカンチガイのままでは、到底コピーライターにはなれなかった。なれたとしても、生き残ることはできなかったはず。本当、宣伝会議さんには感謝です。おかげさまで、人生を変えることができました。

ただ、この幸せがいつまで続くのだろうか、とも最近は思っています。冒頭の“ほん怖話”は実話です。似たような経験をしたことも、一度や二度ではありません。コピーライターという職業をご存知ない方が、少なくとも僕の周りにはたくさんいます。

そんな職業が、未来永劫世の中に必要とされるのだろうか。5歳と2歳、まだ幼き我が子と触れ合う度、僕は不安を覚えるのでした。

次回は、そんな不安なコピーライターの生々しい仕事ぶりをお伝えさせていただければと思います。

木村さん
木村吉貴(きむらよしたか)
鎌倉 木村文章店代表。コピーライター。
1977年生まれ。宣伝会議コピーライター養成講座総合コース(現 基礎コース)2004年修了。デザイン事務所等でコピーライターとしての実務経験を積んだ後、2011年、神奈川県鎌倉市にて「木村文章店」を設立。

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