絶対に利用者が読まないような規約を承認しなければサービスが利用できないという状態にしておいて、規約にこっそり「データの利用は会社側が権利を持ちます」と書けば決済情報も含めてレンタルビデオ業者に吸い上げられかねない仕組みも適法であるかのように運用できてしまっています。
この辺はいろいろと議論のあるところですが、今後は医療情報や電子レセプト、電子カルテなども含めてセンシティブデータが流通する中で歯止めがかからない状態というのはさすがにおかしいと思うわけですね。
ヤフーの中だけで情報がとどまっているのであればともかく、データ流通の協業先がクラックされて情報流出したときの賠償責任も、アメリカでの事例と同様にヤフーは負ってくれるのか、という話になってしまいます。
パーソナルデータは社会の宝であり、だからこそ国家の適切な規制の下で情報流通させ、問題のある法人やサービスは三条委員会による立ち入り検査で制限がかけられる仕組みにしない限り、データは個人の同意をしないところで国外に出て行ってしまうでしょう。
当然のことながら、その方面にある程度詳しい人からすると、一連のヤフージャパンの記者会見による主張は「なんぞ?」という反応にならざるを得ないわけですね。
たぶん、先の記者会見ではヤフージャパンが本当に意図することが正確に伝わったわけではなさそうだ、ということまでは理解できるんですけれども、真意はどの辺にあるのでしょう。
表現が素敵過ぎて、さすがに反発も強いようで、やはりヤフーの真意を知りたいというのが本音です。今日から私もあんたも「プライバシーフリーク」を自認して、強く生き抜いていこう。いずれにせよ、業界の根幹に関わる分野であるからこそ、行政と業界がしっかりと議論できる状況を作る、というのは望ましいことだとは思いますけどね。
基本自由ってのはいいんですがね。基本無料みたいで。うん。
次回予告
2月の「山本一郎と燃ゆるICT界隈」は、「ビッグデータ」「パーソナルデータ」問題に斬り込む強化月間。来週から、スペシャルゲストを招いてのビッグデータ鼎談を3回シリーズ(予定)でお送りします。
<スペシャルゲストその1>
ベストセラー『統計学が最強の学問である』著者 統計家の西内啓さん!(写真左)
<スペシャルゲストその2>
企業法務とコンプライアンスを熱く語る男… 新潟大学の田中幸弘先生!(写真右)
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