コラム

ドン・キホーテの訪日外国人誘致戦略の仕掛け人が行く!

団体ツアーVS個人旅行、これからのインバウンドで伸びるのは、どっち?――インバウンド販促の“秘伝”④後編

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前回の記事「インバウンド販促の“秘伝”④前編」はこちら

個人旅行の訪日客をつかんで売上前年比300%

団体観光メインだった時代は、海外からの訪日客を誘致したければ、各国の旅行代理店詣でをすればよかったのです。

実際、今なお行政の皆さんも民間の観光事業者の皆さんも、韓国、中国、台湾、香港、アセアンをはじめ各国の旅行会社の担当者に、訪日団体ツアーの造成(商品開発)にあたって、ぜひ自分の自治体、自分のホテル、自分の観光施設への立ち寄りや宿泊のあるコースの設定をしてもらうために、毎月セールスコール(商談)にでかけています。

もちろん、当社もでかけます。ところが、これらの旅行代理店(B=ビジネス)を回っているだけでは、今の時代、限界があります。GIT(団体旅行)からFIT(個人旅行)に訪日観光の主流が大きく変わっているこの時代において、これからは、エンドユーザー、すなわち個人の消費者(C=コンシューマーにダイレクトに働きかけていく必要が生まれてきたのです。

Bだけへのアプローチから、B+Cへのアプローチが求められる時代になったのです。自社(自地域)のダイレクトなブランディングが必要とされる時代になったのです。

ここで、SNS(ソーシャルネットワークサービス)、すなわちフェイスブックやツイッターやLINE、中国だったら「新浪微博(シナウェイボー)」や、「人人網(レンレンワン)」の重要性が増しています。

ダイレクトにCの皆さん、訪日旅行予備軍とのコミュニケーションが必要になってきたのです。この他、海外の有名ブロガーを活用した、情報発信も効果的です。

もちろん、多言語のHPの充実は基本です。そして、海外の主要な旅行博覧会に出展し、数万人から数十万人の来場者とじかに触れ合う機会も貴重です。

ドン・キホーテでは、海外の主要な旅行博覧会に出展し、数万人から数十万人の来場者とじかに触れ合う機会を大切にしている。

ドン・キホーテでは、海外の主要な旅行博覧会に出展し、数万人から数十万人の来場者とじかに触れ合う機会を大切にしている。

わがドン・キホーテグループも、上述のような基本中の基本の取り組みをこの6年間、地味だけど着実に投資を行い、粘り強くプロモーション活動を展開してきました。

もちろん、これらの取り組みは息の長い取り組みです。今日やったからといって明日すぐに、多数の訪日客が押し寄せるということはありません。ここが、BとCの市場の違いです。FIT戦略に王道はありません。継続こそが力なのです。

資金力のある企業や大きな自治体は派手に、バンバン海外プロモーションを打てます。では、資金力に限りのある企業、そして地方の小さな自治体などはどうすればいいのでしょうか?

このFIT時代こそ、前回述べましたように、連帯の力が必要なのだと思います。ディスカウントストアである、我がドン・キホーテは、使える販促費には限りがありました。それゆえ、最初から、我が社は、地域の皆さんとの連携を模索してきました。みんなでお金を出し合い、知恵と労力を出し合って、継続的なプロモーションを展開してきたのです。

FITの訪日客には、当然ガイドさんは同行しません。足となる大型観光バスもありません。誰もが自分で公共交通機関やレンタカーや徒歩で観光します。

それゆえ、必要なのは、使える情報が豊かに載った多言語の地図です。そして今の時代に求められるのは、多言語の観光アプリです。これらの整備にも当然大きなお金と手間がかかります。これらを、自社単独でばっちりそろえるには、膨大な資金がかかります。

地域で連携し、みんなで力を合わせる必要があります。みんなで資金を出し合えば、各メンバーは限定的な負担ですみます。

たとえば、今年2014年の春節(旧正月)には、東京新宿の7社12店舗がお金と労力を出し合って、インバウンドの合同キャンペーンを展開し、新宿地区の多言語マップガイドを作成し、世界中に合計88万部を送りました。

その成果はとてつもなく大きなものとなり、ちなみに新宿地区のドン・キホーテの春節期間の前年同期比のインバウンド売上げはおよそ300%増に達しました。数多くの国内外のメディアにこの企画は取り上げていただき、大きな反響がありました。ほぼ新宿地区の売上の全部がFITの顧客です。

次ページ 「この他に、FIT市場で成功するために必要なこととは?」に続く

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