コラム

アドタイ・デイズ 2014 事務局

モノ+サービスで進化する、ユーザーエクスペリエンスデザイン/アドタイ・デイズレポート(13)

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体験重視で行くのなら、ターゲットを絞ることも重要

——ターゲットの絞り込みが功を奏した実例をご紹介ください。

アーキセプトシティ 代表/エクスペリエンスアーキテクト 室井 淳司 氏

アーキセプトシティ 代表/エクスペリエンスアーキテクト 室井 淳司 氏

室井:キリンビールの「一番絞りフローズン生」(2012年)という商品のプロモーションです。依頼内容は、若い人たちがビールを楽しんでくれるような、商品の体験ブランディングをお願いできないかというものでした。

キャンペーンで展開する場所「一番搾りフローズンガーデン」は、20代がごった返す空間でなければならなくて、通常のビアホールのように40~50代が集まる場にはってはいけない。そこでフォトジェニックビアーというコンセプトを考案し「泡のシルエットをモチーフにしたゲート」等を建築に付加し、フローズンビールと写真を撮ってSNSでシェアしてもらえるよう細部にもこだわりました。

結果、想定より3倍の来場者数を実現することができました。

久保:「hue」は、ターゲットをガジェット好きな30代男性を絞り、取扱説明書も極めてシンプルなものにしました。

「hue」の価格は、3個で2万6,000円です。もともと万人受けする商品ではないので、思い切りターゲットを絞った戦略を立てました。

当初は「こんな簡単な取説で理解できるはずがない」と社内議論も相当なものでしたが、保守的になってインターネットに不慣れな層まで取り込もうとすると1冊の分厚い「取説本」になりかねません。取説一つとっても、割り切りが必要ということです。日本企業は、売上が見込めないターゲットを捨てる覚悟を持った方がいいと思っています。

栗山:『活動量計』は、最先端の技術を駆使して多機能化に走るのではなく、あえて機能をそぎ落とした商品なんです。取説を読む必要がない位にわかりやすさに注力し、誰がどんな時にどう使うかを徹底的に想定して、その人が一番心地良い形を作っていったのです。

これまでの製造業は「商品を作って売っておしまい」だったのですが、ネットやアプリにつながることで、これまでの小さな画面ではできなかったよりリッチな体験をお客様にしていただくことが可能となりました。

購入後もそれらのサービスを通して、毎日ユーザーから送られてくるデータを分析して次のサービスにつなげたり、お客様とつながる機会を私たちも得ることができるようになりました。

≫次ページ 「スペックを追求するのはもはや限界にきている」に続く

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