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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「すべては“自分ごと化”から始まる。それができなければ、内発も気づきも行動も生まれない」――オールアバウト 江幡哲也社長に聞く

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【前回のコラム】「失敗を重ねることで成長が早まる。ただし失敗は「早く・安く・分かりやすく」 ——ホットリンク 取締役COO 成瀬功一郎氏に聞く」はこちら

時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。
このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。
今回は、さまざまな分野のプロ(専門家)が日常生活をより豊かに、快適にするノウハウや業界最新動向を発信する生活総合情報サイト「All About(オールアバウト)」の運営などを行う、オールアバウト 代表取締役社長の江幡 哲也氏に伺った。

江幡 哲也(オールアバウト 代表取締役社長)

——江幡社長が社員に対して“求めている力”とは、どのようなものでしょうか?

当社では、さまざまな新しいサービスを開発することが多く、当然そこにはマーケティング力が求められます。今回は「サービス開発」ということを例にしながら、話を進めたいと思います。

グループの導入研修などで話しているのが、マーケティング力、スキルの前に「自分ごと化」することの重要性です。会社なので、当然、ミッションが与えられるわけですが、自身のところに仕事来た時点でそれを「自分ごと化」できるか。つまり、責任をもって、自分で考えて取り組めるか。

それができない限り、内発が生まれないし、新しい気づきも努力する心も行動も生まれません。まずそういうスタンスが必要で、これが新しいサービスの開発であればなおさら重要です。

それがベースにあったうえで、サービス開発の場合、次に考えるべきなのは、流行に左右されない、なるべく長く続くサービス・商品であるかということ。

「長く続く」を考えるとなると、自分が今身を置いている事業の領域や、関係する環境の中期的な変化、先読みを行って考えないといけなくなります。それは、世間で一般的に言われていることを調べるという意味ではなく、本当に自分でどう思うのか、自分事で考えるということです。

そうした基礎的な環境の見立てから始まって、ターゲットとしている顧客の領域について考える際は、生々しい日常のレベルまで掘り下げて、どういう変化が起きるのかを徹底的に考えていくのです。

——スキルの前に「自分ごと化」が重要ということですね。では、自分ごと化したうえで、環境の変化を考えた先には、どのようなことが必要なのでしょうか?

そうですね、「これについては将来こうなるのでは」と考えたら、次にその変化に対して私たちが本質的な価値を提供するには何が必要なのかと考えていきます。その際に必要なのが、三つの視点から見ることです。

一つ目が、圧倒的にコスト構造が変わるかどうか。例えばECなどまさにそうですね。

二つ目が「これがなかったらできなかった」という新しい価値を提供できるか。これはなかなか難しいですが、この点があるサービスは非常に強いので、重要な視点だと思います。

三つ目が非常に重要で、「レバレッジ構造」を作れるか。つまり“てこの原理”になっているかということです。これについては必ず考えさせるようにしています。ある程度、投資やパワーをかけていって、収益・ユーザーの数がそれと並行して伸びていくのではなく、ある点から、ぐっと指数的に伸びていくようになっているか。こうなると投資効率が良くなります。

こうした、三つの物事を見る「メガネ」を、ある程度私が経験し、整理してきたメソッドとして教えています。

そこに、自分たちの持っているアセット、オールアバウトで言えば、ユーザー接点が月間3,000万人、専門家1,000人のネットワークがあることをどう生かせるか、実現の度合いを考え、最終的にポテンシャルを出す。そういうある種の方程式を教えるようにしています。

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