講演者
- 岩田 慎一(ライフネット生命保険株式会社 マーケティング部)
競合がひしめく保険業界で、開業6周年のライフネット生命がどのようなマーケティングを行ってきたのか。同社は保険という実績や信頼が重視される業界のなかで、まずは認知・共感度を上げるためにコンテンツマーケティングとデジタルプロモーションに注力してきたという。岩田氏は、「他社がやらないこと、できないこと、やりたくないことをマーケティングポリシーにすることで、最小限のコストで認知と共感度をアップすることができた」と話す。
同社のこうした考えのヒントとなったのが2009年に行った「ハトが選んだ生命保険に入る」という企画だ。3種類の金額が書かれたお皿に豆を入れ、ハトが食べた金額の保険にその場で入るというもので、世の中に出してみるまでどんな反応が起こるか心配したが、同社の中心顧客である20~30代の共感度が上がった。SNSがいまほど普及していない時代でありながら、多くのブログに取り上げられ、対象世代のネットユーザーから好反応を得ることができた。
この施策を踏まえて、同社のコンテンツマーケティングに3つの独自手法が生まれた。1つ目は「トップを使いたおすこと」。社長自らが少人数のセミナーのために全国どこへでも行き、保険の話や起業の話をすることで共感を得た。2つ目は「ソーシャルメディアを活用すること」。まだ多くの企業がソーシャルメディアに注力していない中、経営陣が率先してソーシャルでの活動を積極的に行うことで、話題になるうえ、ネット上でユーザーとの繋がりをつくった。3つ目は「時流に乗っかること」。同社の事業とは関連性の薄い意外性や時事ネタと連動した調査リリースを配信することで、話題化を狙った。
このように、コンテンツを企画し、その拡散をデジタルで行うことで、少ないコストで多くのユーザーを巻き込み同社への共感を生んで行った。最近でも、「鳥取砂丘から一番近いスタバは?」や「育児はいつも波瀾万丈」といったコンテンツを制作し、話題化に成功している。
講演の最後に岩田氏は、「コンテンツマーケティングとデジタルをミックスさせることによって最小限のコストで相乗効果を生み出している。しかし、KPIは常に測定し、外れを防ぐことも忘れてはならず、日々試行錯誤している」と話し、講演を結んだ。
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