新潮社 佐藤隆信社長インタビュー――神楽坂に登場する新商業施設「la kagu(ラカグ)」の狙いとは?

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編集者が成長できるための装置としても期待

――単純に人の流れをつくるという面だけではなく、神楽坂の新しい側面を見てもらうという面もあるわけですね。では、この試みが社内にどういった効果をもたらすと考えていますか?

la kagu」は、駅から当社の間、まさに“通勤路”にあります。だから、全社員が毎日、この場所を通るわけです。当然、編集者がこれに影響を受けないわけがない。本の編集というのは、本をプロデュースすることですが、毎日通る道に刺激があることで、編集者がプロデューサーとして大きく成長してくれるはず、という期待があります。何が売られ何に人気があるか、ほかの編集者がこのスペースで何を行っているのか。それを見ることで「なるほど、こういうやり方があったのか!」という道筋が見えるはずです。「私のプロジェクトなら、この場所をこんな風に使える」とか「もっとこんな工夫ができるのではないか」と感じてもらい、これまでの枠にとらわれない企画を生み出すことに役立ててほしいですね。

――こうした場所を持ち、コンテンツに関する情報を発信するというスタイルが、出版業にもたらすものはなんでしょうか?

そもそも「本を作る」というのは、きれいに装丁したり、販売担当、書店さんと話したりするだけが仕事ではありません。作っただけじゃなくて、読者に届け、その声を聞くことまでが編集の仕事です。今は情報の流れ方が変わったことで、「売れている本はどんどん情報量が増えてさらに売れるように、中身はよくても、良さが伝えきれずにあまり売れてない本は、そもそも出たこと自体が伝わらない」という構造になってしまいました。それにより、本来もっと売れるべき本が、その力通りに売れていない状況にあると思っています。でも、それではコンテンツがかわいそうです。

だから、当社だけでなく、出版業界として、もっとその本が持っている力通りに売れるよう工夫しなければいけません。そのためにも、「sōko」を情報発信基地としたさまざまな取り組みにより、伝えるべき人に情報を伝え、ちゃんと売れる状況をつくっていきたい。まずはリアルなイベントを通して、本との新しい出会い方のストーリー提供をしていきたいと思っています。

 

佐藤隆信(さとう・たかのぶ)
新潮社 代表取締役社長。1956年東京都生まれ。創業社長佐藤義亮の曾孫。東京理科大学工学部卒業後、電通に入社。1985年新潮社入社。1988年取締役に就任。1993年取締役副社長に就任。1996年代表取締役社長に就任。

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