コラム

販促・集客メディアフォーラム2014

愛される商品、愛されるコピー~ロングセラーブランドのプロモーションに学ぶ~

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講演者

  • 有賀 文威(クラシエフーズ マーケティング室副室長 兼 新規開発グループ長)

9月3日・4日東京国際フォーラムにて、「宣伝会議販促・集客メディアフォーラム2014」が開催され、販促担当者の課題解決に役立つ最新事例や手法についての講演が行われた。本コラムでは、メーカー・流通を中心とした注目企業のキーパーソンによって行われた講演の一部をレポートとして紹介する。

社内を動かし巻き込んだ「甘栗手帳」

クラシエフーズ 有賀 文威 氏

「甘栗むいちゃいました」は、1998年にテスト発売を行って以来、今年で16年目を迎えました。

甘栗の皮がすでにむいてあることが消費者に驚きと利便性を与え、また自然な甘さなので太らないという印象が、お菓子を食べたときの“罪悪感”を払拭するなどの価値が評価され、年間販売額は80億円を超えるまでに成長。「素材菓子」というひとつのジャンルを築けたと考えています。1998年の駅売店でのテスト販売以降、約1年半にわたって静岡エリアなどでテスト販売を繰り返し、2000年に全国展開。この間、口コミによって認知と販売量が少しずつ拡大していきました。

販売開始にあたり作成したのが「母子手帳」ならぬ「甘栗手帳」です。主に営業担当者が持つもので、売り上げや商談内容などを記録するためのものです。甘栗についての知識も載せ、営業担当者にとっての“虎の巻”の役割も果しました。

新製品の市場投入時は、社内をどう巻き込むかが課題になることが多いですが、この「甘栗手帳」を活用したことで、社内の意識を一体的にすることができ、非常に有効でした。

販売を始めてからの16年間に、商品の訴求ポイントもさまざまに変化しています。発売当初は「甘栗むいちゃいました」という商品名称のストレート性を打ち出し販売量を拡大していきましたが、2005年には競合に対する優位性を持たせるため「できたてのおいしさ」を訴求。07年から翌年にかけて中国餃子問題が起きたときは、「安心な有機栽培栗を使用」「国内でレトルト加工」をパッケージに印刷し、安心・安全面を訴求していきました。

その後も「自然な甘さ+有機栽培」や、特選栗を使用した「厳選感」など、市場状況や時代のニーズにあわせて訴求ポイントを変えています。今年は「石焼焙煎製法」をアピールし、甘栗のおいしさを改めて生活者に認識してもらうことを狙っています。

自分自身が商品を好きになる大事さ

生活者に栗の「良さ」と「価値」を提供し続けていくため、これまで料理家の平野レミさんを起用したマーケティング・キャンペーンを実施したほか、サイトで「甘栗むいちゃいました」を使ったおかずやおつまみのレシピを掲載したり、農林水産省選定「郷土料理百選ラボ」とコラボしてレシピを開発したりといった取り組みを行っています。

主な購買層は男性が50~60代、女性が40~60代であり、ミドルからシニア層が中心です。

短期的にはこうした中高年の購買層に対して商品の価値を改めて伝えていくとともに、中期的には10~20代の若い世代に買ってもらえるようにしていきたいと考えています。

具体的には、中高年向けには生島ヒロシさんがパーソナリティを務めるラジオ番組で商品の良さを告知。一方、若い世代に向けては、今回初めて「宣伝会議賞」に協賛し、「甘栗むいちゃいました」のキャッチフレーズを募集しています。

新事業を立ち上げるにあたり、私が大切にしているのは、大きく“風”を読んで、「これだ!」という確信を持ったらやり続けること。そして、自分が売るものを好きになること。新商品を開発するとき、課題は意外と社内にあります。社内の人たちに“その気”になってもらう鍵は実は自分の中にあるのです。


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