講演者
- 大澤 央人(日本コカ・コーラ株式会社 コンテント エクセレンス)
ブランド価値伝える全長6mの自販機
コカ・コーラでは「Liquid & Linked idea(液体のように、核となるブランドストーリーを保ったまま、相互にくっついて広がっていく)」という考え方でコミュニケーションを行っています。
2012年秋にスタートしたスプライトの事例も、この考え方に基づいて行いました。消費者にメディアになってもらい、ストーリーを発信できた成功事例です。
当時の炭酸市場の伸び率は毎年5%で、カテゴリーのトップの三ツ矢サイダーが市場の約60%以上を占めていました。さらに、スプライトのメインターゲットは20~30代の男女ですが、炭酸ユーザーの70%がスプライトを飲んだことがないという状況でした。
どのようにすればスプライトのセールスが拡大し、シェアを獲得できるのか。まずは、スプライトのブランド価値を明確に伝えながら、春夏に消費者とエンゲージしていくことをコンセプトにしました。そこから「スプライトは瞬間爽快をもたらしてくれるブランドである」というブランドストーリーを設定し、それを「スプラッシュ自販機」をフックとして伝えていく企画にまとめました。
スプラッシュ自販機は、全長6mの巨大な自動販売機で、スプライトを購入すると、自販機中央の溝からスプライトが落下してきて、スロープ状の受け取り口に着地。そこには水が溜まっていて、自販機に仕込まれた高圧空気砲でその水を噴射、周りの人にシャワーのように水を発散するという、これまでにない自販機です。消費者の注意を惹き、面白がってもらいながらスプライトの「瞬間爽快」というブランド価値を浸透させることができるのではないかと期待して起用しました。
イベントに集客しSNSで情報拡散
テレビCMを1800GRP流してリーチを広げました。興味喚起したところで、YouTubeでスプラッシュ自販機を体験してもらっている様子を公開しました。コメント蘭には「この自販機、本当にあるの?」というコメントから、「こんなのやらせだ」「びしょびしょになりたくない」といったネガティブな声まで、たくさんの意見が書きこまれ、約180万回再生されました。動画広告もつけていましたので、話題醸成という目的は達成できたと思います。
夏用CMは、CMの撮影の日時や場所をオープンにして、参加希望者に集まってもらいました。また、日刊スパやロケットニュースの記者にも自販機を体験してもらい、体験記事を書いてもうことで、SNS上での拡散に勢いがつきました。
7月下旬からは、一般の方が体験できるイベントを、新宿・大阪梅田淀橋、逗子フェスなどで実施。また、蛯名サービスエリアやお台場にも自販機を設置。連日1000人近くの方々が参加しました。キャンペーン期間中のツイートの動きを見ると、イベント開催ごとに会話量のベースが上がっていく現象がみられました。最終的には情報を出せば面白がってもらえるような状況をつくり出すことができ、理想的なソーシャルの活用ができたと思っています。結果として、体験人数は約13万8千人、動画再生回数合計 が約540万回となり、2013年度の売り上げは2桁増を達成しました。
今年はイオンモールとタイアップして、ジェットコースターのような「スプラッシュカート」を起用しました。イオンモールでスプラッシュカートを体験した直後に店舗で購入してもらい、SNSで情報発信してもらうという流れを作りました。また、グーグルの写真編集アプリ「バイン」を設置して情報拡散がスムーズに行われるようにしました。
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