——トップレベルドメインを取り扱えるようになって、御社のようなレジストリ会社(ドメイン名の卸売り業者的存在)が発足したわけですが、それがGMOグループ全体に与えた影響はありますか?
地域名ドメインの取り扱いを開始する以前から、当社はソマリア共和国の「.so」およびインドネシア共和国の「.id」ドメイン運用を行っています。その点を加えると、市場に最短距離で入っていけるようになりました。それぞれの政府の方、また日本では総務省などからインターネットについて相談を受けることも多くあります。「インターネットと言えばGMO」というイメージを持っていただけたことが大きいですね。
もちろん、立ち位置の変化によって責任も増しました。地域名ドメインなどの新gTLDはccTLD(取得者制限のある国名ドメインなど)よりも厳格にルールが定められており、グローバルスタンダードでどういったシステムでなければいけないというのが全部決まっています。当社は日本にメインサーバーを置いているのですが、万が一に備えてのバックアップ体制は厳重になっています。レジストリが落ちてしまうとインターネット全体に影響を及ぼしてしまうので、この部分の保守・運用に関しては当然、相当な力を入れています。
——名古屋・東京・横浜と順調に推移していますが、今後さらに地域名ドメインは増えていくのでしょうか?
そうですね。国内では沖縄の「.okinawa」が開始しており、今後京都と大阪が続きます。その他に、すでにいくつかの市町村から「地域活性」という点で新gTLDの申請の相談をいただいていますので、インターネットの資源を管理している団体と協調して、実現して行きたいと思います。ユニークなところでは、「苗字をドメインにできないだろうか?」という声もありますので、地域名に限らず、幅広い展開が可能なのだと思っています。
また、それに合わせて「お子様の誕生に合わせて名前でドメイン名を取得しておき、それを、インターネットを使う年齢になったら誕生日プレゼントにする」という流れもできるかもしれません。取得したドメイン名は登録を更新する限り一生持ち続けることができます。現在はフリーで利用できるメールサービスが隆盛していますが、これらサービスは将来的に変わったり、なくなったりする可能性もあるわけです。そういった変化するものに依存するのではなく、一生不変の自分だけのドメインを持つ。つまり、「オンライン上に、生涯変わらず連絡を取れる術を確保する」というのは、とても価値のあることだと思います。
こうした、さまざまな活用法も広がっていくとは思いますが、まずはスタートしたばかりの「.nagoya」「.tokyo」「.yokohama」といった地域名ドメインのメリットを伝えていき、地域のブランド力の更なる向上に寄与できればと思います。
塚原廣哉(つかはら・ひろや)
GMOドメインレジストリ 代表取締役社長
1983年東京都生まれ。19歳まで米国と仏国で過ごす。国際基督教大学卒。
2008年11月GMOインターネット入社。2009年7月GMOドメインレジストリ設立に伴い同社の取締役に就任、2012年10月現職となる代表取締役社長に就任する。
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